ゆきんこブログ

月刊ガソリンスタンド誌
『変化と試練が、人と企業を強くする』
連載中!

朝の来ない夜はありません

2011年01月18日 08時39分57秒 | Weblog
世界中の行き場を失った投機マネーが石油に流れ込みそうな感じで原油価格が動き出しています。

中進国などの消費拡大の要因もありますが、どうも需給バランスだけではないような市況となってきたようです。
これから、世界の石油価格が暴騰するという見解もでています。
世界的な動きと国内リテール市況が具体的にどのようにリンクして動くのか動向に注目しておきましょう。

しかし、マクロの原油市況と国内リテール市況は、一般業者にとっては先物でも扱わない限り別物と考えるべきでしょう。

まずは、国内では元売を中心とする流通があって、
リテール市場ははあくまでもリテール市況が問題なのですから、
評論家のような事を並べ立てても現実的な課題解決にはなりません。
最終的には個々の企業の価格転嫁の努力が前提となります。
ここは、冷静に落ち着いて市況対応する事が大切です。

さらに、
今年は老朽化した地下タンクの問題などもありますから、
再投資の課題も含め、既存業者にとっては厳しい経営環境が続きそうで
淘汰のスピードが一気に早まる事も予想されます。

ここにきて、
灯油ビジネスが注目されていますが、これも例年通りの流れとなっており想定の範囲内の事です。
揮発油税などを抜いた価格ではガソリンと比較しても圧倒的に収益性が高い灯油ですから、
ここは値取り中心で今後の流れに対応すべく、体力をつけておきましょう。
資金効率も改善するはずです。
「灯油」で決算を組めるくらいの力があれば、「勝ち残り」の力としては万全です。

なぜなら、
灯油はホームエネルギーであり、今後のエネルギービジネスの方向性を決めるカギとなるからです。
ホームタンクユーザーユーザーなどの囲い込みでソーラーなどの次世代エネルギービジネスへの道が開けます。
最近はリフォームビジネスや住宅設備産業などに積極的に参入する石油販売業者が増えています。

「オール電化」の住宅でも、
この豪雪の天候異変では、再び石油に依存したり、両方の設備を用意する家庭が増えていると聞きます。
一部地域の停電などにより、オール電化住宅の弱点が露呈したようですから、当分、灯油の時代は続くはずです。
エネルギーの変化をうまく繋ぎとめながら、次世代ビジネスに向けた動きが出ている事は、石油業界の新しい力を感じます。

ここにきて、
あらためて「ガソリンスタンド」というビジネスの難しさを感じます。
SSだけが石油業界ではありません。

一介のリテール業者が、原油価格高騰を論じてみても意味はありません。
業転市況ばかりに目がいくと、「虻蜂取らず」でどこまで行ってもエンドレスの悪循環ループ経営となりやすいわけです。
仕切りが上がれば、適正に転嫁することが基本です。
仮に安売りに依存する競合他社がいたとしても、価格は無視して、まずは、みずからの足元を固めましょう。

「ごまめの歯ぎしり」という言葉があります。
こんな時代ですから、自らを弱者として割り切り、ガードを固める事も経営者としての「知恵」なのかもしれません。

朝の来ない、夜はありません。