けの汁
旧暦小正月に神仏を念頭に肉類と魚を入れずに作る精進料理。
粥、貝を共にケェという方言が「粥の汁、貝の汁」になまったものと言われている。
大根、牛蒡、人参、わらび、ぜんまい、ふき、豆、油揚げ、凍み豆腐、キノコなどの山菜を、
(一般的に豆はずんだ、と言われる市販の物を利用する。大豆を炒って粉砕した物
と生の物を粉砕した物とがある。)
5ミリ角ぐらいの大きさに切って、焼き干しや昆布でとった出し汁(だしの素)で煮る。
調味料は味噌と醤油の二つが使われる。我が家ではもっぱらお味噌を使う。
隠し味としてお醤油を少々入れることも。
大鍋で作り、食事の度に小鍋に移して温めて食べる、郷土食豊かなお料理。
具沢山で汁気の少ないおかずのような味噌汁…。
店頭では細かく切られた水煮のパック詰めが売られて手軽に作れるようになった。
出来れば山で取れた塩漬けの山菜を塩抜きして作って欲しい。出来なければ水煮の
山菜を買ってチマチマと年越しにみじん切りにしながら家族を待つのも楽しいもの。
貝焼きみそ
ホタテの大きな貝がら、17~18cmのものを鍋代わりにして作る。
水を入れて、煮干や鰹節でダシをとり大さじ2くらいのお味噌を入れて卵2個を溶いて
静かにかき混ぜ、半熟ぐらいで火から下ろす。
昔は産後にお乳が出るようにと毎食のように作られたそうだ。
今ではホタテ、豆腐、長ネギなどを入れる贅沢なものになった。
晩酌のおつまみにはもちろん、お昼ご飯にも人気のお料理。
私が嫁いで直に作らされたのもこの貝焼き味噌。ホタテなどの入らない質素な物だった。
ダシをとっったらお味噌と卵と長ネギで終わり。やはり火を通しすぎないのがコツ。
でもやっぱりうまくいかない。料理そのものが一年生の私にはとても無理だった。
大きな貝がらは市場などで手に入る。鍋で作る料理とはやはり一味もふた味も違う。