最近、テレビ出演している元明石市長の和泉さんが面白すぎる。こんな政治家なら国民も政治をタブー視する日本人の悪癖を軽やかに取り去って、政治がいかに自分たちの生活に大切なのか分かるだろうなと思えた。
そして、読んだ本「政治はケンカだ!」(泉房穂:著 鮫島浩:聞き手)が余りにも面白かったので、忘れないためにも、ここにちょっとお裾分けで書いておくことに。 なにしろ、忙しさが半端なく、夜中に起こされることもあるし、朝は6時起きだし、やることは多く、最近数回風呂の水を溜めていて忘れてしまって数時間溢れさせてしまった。水道代が1~2千円違ってしまう。タイマーで13分とか合わせるようにしたのだが、最近は、そう思いつつそのタイマーをセットし忘れるのだから始末が悪い。痴呆症の入り口(嘆)
この世は、今、私個人としても、社会(日本でも世界でも)ひっかかること、問題が多すぎる。
なには、ともあれ、本の話に戻ります。
政治家になる原点、そして政治家へ
・明石市の貧しい漁村のに貧しい家に生まれ、両親は父が小学校卒、母は中卒。昔は貧しい者ほど戦争で激戦地にやられたようで、実兄2人、義兄1人を戦争で失った父は10歳ちょっとで漁師として働くしかなかった。
・女工をしていた3軒隣の母と結婚。自分が生まれ、その4年後に障害をもった弟が生まれた。羊水検査で事前に障害が分かったが、両親は出産を選んだ。でも、差別が大変だった。その理不尽な差別に泉さんは10歳で、これは間違っていると感じた。親に「親が死んだら弟の世話をせい。そのために2人分働け」と言われ、そうするものと思った。
*(聞き手の人も、母子家庭で奨学金で勉強した人で共感。京大卒、朝日新聞)
・弟は、小学校に入る前に歩けるようになったのに、普通小学校には入れてもらえず「冷たい社会を優しい社会にしたい」と和泉さんは考えた。小学校5年で大きくなった「明石市長になる」と決意。
・東大に入学。市長になるつもりだから、1日遅れの神戸新聞の明石版をずっと学生時代も読んた。
・駒場寮に住み、寮費値上げ反対のストライキの最後の実行委員長なった。でも、負けて、責任をとって自主退学。ワレサの連帯に憧れてポーランドにいったりした。「民衆の力」を知った。大学は退学したつもりだったが、明石に戻っていた自分に学部長がもどってこいと電話してきて、実は退学届は受理されてなかった。復学。NHKに入社。
・石井紘基の本に感動して、その選挙運動を手伝うためそばにひっこして努力したが負けてしまった。石井に勧められ弁護士になって明石市に戻る。石井氏が暗殺されてその後を継いで国政選挙にでる。民主党公認の落下傘選挙で明石の選挙区ではなく神戸で出馬。衆議院議員になる。
・2011年5月~2023年4月まで明石市長。最初の選挙はどこからも応援されず無理と思われたが、市民のために働くとどこも頼らないことを力に69票差のぎりぎりで当選。「市民のために頑張る」と言っている人と、「一部のひとのために頑張るといっているひと」僕が勝った。普通の市民である人の方が、人数が多いから。演説も、「皆さん~」でなく、自分も市民だから「わたしたち~」と言った。既得権益の方々が向こう側にいる「彼ら」。「私たちの明石を私たちの手に取り戻そう」とか、「私たちの社会を諦めてはいけない」とか、「子どもに優しいまちにすれば経済が回って高齢者にも還元される」とか。言っていることは今もかわらない。
就任2年目で、もう無理かと諦めかけた・・・
・市役所で地元新聞を取ったり、マスコミに市民のお金を使っていたのを切ってしまった・・・マスコミを敵に回してしまった反省。敵をつくっつあったけど、市民は味方だったから続けられた。
・うっかり発言で2回危機。1回目は道路拡張工事が進まず、「もやしてこい」と言ってしまった。辞職して、選挙に出て勝った。2回目はコロナ禍の飲食店のために市民にサポート利用権を配布。でも、議会に根回しもなくやって反発を買い、市議に「落としてやる」といった。政治家に売ったケンカだった。
2021年12月21日悲願だった「旧優生保護法被害者等尊厳回復及び支援に関する条例」と自治体として初めて可決。障害などを理由に不妊や中絶手術を強いられた市民やその配偶者にそれぞれ300万円を支給することになった。条例可決の日にツイッターを始め、これで、「優しい社会を明石市から今度は他の自治体に広げる」ことを目指すことにした。
・私はやているんですよ。大学、NHK、テレ朝、2003年の国会議員も、5年の衆院選で負けて、次も出れば~と言われて明石市長になると言って断った。
市議会と闘う
・何でも市議を通すと保育園でも入れたり~お金を裏で払って、そんなのがあった。保険料や税金の滞納も市議が動けば待ってもらえた。市役所に入るのにも議員の口利きがいった。だから、弁護士を雇って、滞納問題などにも訴訟の前に解決して言って徴収率が上がった.市民と話をする会を開催しようとすると、市長が直接話すと、市議の仕事がないと言われた.昔はそれに、予算も多めにあって、回すこともあったが、今は、削る話になっているから事情も変化。橋本さんたちは議会の半数を抑えたり、マスコミを抱えこむのもうまい。自分は反省点。
でも、議会とうまくやるといっても明石は1700票くらいで当選してきた議員だから、ほんとうに市民の代表といえるか・・・。
・「政局」とは、多数派をとるということ。あらゆる手を使っても、多数派を自分につなぎ止める用に考えないと政策を進めることは難しい。そこのところ、安倍さんはうまかったし、維新の会も橋本さんにしてもうまい。でも、そこに本気で取り組む議会が悪いと嘆きながら、何も出来ずに終わってしまう。その点、旧民主党はそこをサボっていて、結局自分たちの思うことはどれも実現できず、消費税まであげちゃうことに(鮫島)。小選挙区制度になって、以前と様変わり。以前は、自民党でも人間力があった。今は、国民の方を見ないで、党の公認にしてくれる幹部にペコペコしているような人、サラリーマンのような議員が多い。
*ここで、番外篇のように、自民党の西村氏の話が出てきて面白かった。何と、明石市民は泉さんも選んだけれど、西村氏も選んでいると。そして、以外にも聞き手の鮫島さんは西村氏をボロクソに言うが、泉さんは東大で仮入部したボクシング部の1年上の西村と接触があって、泉さんが家永教科書裁判で「侵略」を「進出」にするなんてオカシイと1人で署名活動をしていて西村氏にも署名を頼んだ。すると、「将来総理になるから署名できん」と断られたと~!次に会ったのはあるパーティー。西村氏が通産省官僚の時。官僚なのに殿様気分で、女の子をはべらして「お前ら俺が総理大臣になったら官邸に呼んでやるからな」と言っていた。そのあくなき上昇志向。明石市長まっしぐらの自分と同じ目的意識がハッキリしているから選挙対策も万全。参院選では公明党を一生懸命応援。衆院選には他の候補が出ないように根回しの万全な選挙。勝利への迫力に感心・・・それ以上はコメントを勘弁してと語っていた。(聞き手の鮫島さんの突っ込みと共に、面白かったぁ~~~)
野党の問題点
・立憲民主党・・・上品すぎて、わくわく感がない。
・維新・・・選挙がうまい。大阪府知事と大阪市長を同時に勝利、府議会、市議会も過半数を取る抜け目なさ。
*そうです。立憲の辻元さんのまさかの大阪での落選。彼女のような人が小選挙区で勝って力をもてば、立憲ももっと魅力ある党になると私は思っています。維新恐るべし。
・公明党・・・国土交通大臣ポストをずっと握ってから田中角栄以来の利権を引継いで土建選挙。福祉行政から国土交通系に変わってしまった。勝ったなきゃ始らない~が徹底している。
・国民民主党・・・玉木さんはかわいげがある人。
・共産党・・・出直し選挙で対立候補はだしてきたけど、議会では応援してくれた。他の与党が毛嫌いすることはないと思う。
・れいわ新選組・・・賞賛できるポイントがある。重度障害者の政治参画など、できっこないと思ったことを実現したのは特筆できる。「誰一人取り残さない」「障害当事者を大事にする」など考え方も近い。
私は、れいわ新選組から泉さんに選挙に勝ってもらい、日本を変えてほしいと思いましたっ!!!
市役所でどう予算を変えたか
・市役所は、市長が替わっても4年と思い、心は「お上至上主義」「横並び主義」「前例主義」
・優先度の低い予算に判を押さないを貫いた。公営住宅建設中止(すでにある住宅や民営住宅に助成するのでいい)、下水道工事(100年に一度の床下浸水対策では人は死なない)で、450億円を浮かせた。 自宅ポストに「殺すぞ」など脅しが入った。
・事業は、Must(必須) Better(したほうがよい) May(してもしなくても良い→100%止めた)Don't(しちゃダメ→中止)。問題は、Betterの検証だった。1軒の家のために何十億円もの土砂崩れ防止にお金をかけるなら、住み替えをお願いする。本音は1軒のためより事業者への支援のことが多い。民主党政権下ではそういうのは下がったけど、その後はまた右肩あがり。(鮫島:東大出身の官僚がそれでまた、そういう工事でいいことをしたと思っている。新聞記者として『嘘だろう』と驚いた) 役人にはコスト意識がないからね。 これで浮かしたお金で中学生までのこどもの医療費を無償化した。
・市長になったら、人事権は、これこれは~だからほとんどないとレクチャーされた。無視しました。適材適所にした。通例は1年一度の人事異動を、コロナの時は1年に27回人事異動した。DV相談員、非正規で200~250万円だったのを専門職だから年収700万円で公募した。市長が人事権が発揮できないのは副市長が職員で、市議会にしてみれば自分たちの子分、職員にとっては自分たちの親分。ぼくは市民の代表。副市長(特別職で、一旦公務員は辞めて退職金をもらって務める)は職員を守る。そして、だいたい新任で入った市長は様子が分からないし副市長のいうままになる。中央省庁の官僚にしても、「国のために~」なんていうのは少ない。国民目線ではないから、国民負担に平気。官僚は過去問ばかり解く人生をしているから、コロナにはお手上げだった。
・ぼくは、答えは官僚出なく市民の顔に書いてあると思った。国家公務員は長らく『天皇の奉仕者』だった歴史から「国民全体の奉仕者」になったのにその意識が希薄だった。商店街ガラガラ→テナントに100万円貸し付け。母子家庭大変→5万円給付。
・人事権、(鮫島:民主党は、政権をとったら米国のように局長以上は一時辞表を提出させて任命し直すと言っていたのに、官僚人事に手を出せなかった。安倍政権の方が、手を突っ込んで求心力を高めた)。
*P159 今の最高裁判事に森友・加計の顧問弁護士がなっている!と泉さんが言って、日本のメディアも米国のように「共和党系の最高裁判事」とか発表すべきと言ってます。誰のことか、調べてみたら木澤克之がご当人のようだったが、2021年8月まで約5年最高裁判事をして、9月からは加計学園の監事をしているようでした。
・都道府県庁不要論
・(鮫島:自民党の選挙は、最大派閥経世会はゼネコンが選挙支援してきたが、食い込みで遅れた清和会は宗教団体の応援を受けた!)
僕の選挙は簡単。自分の事務所は5人くらい。それでできちゃう。業界団体や労組なんかに依存して選挙するような人は手練手管の官僚機構を付き従わせて公約なんて実現できない。
さてさて、ここまで来て、少々疲れました。そもそも、あまり書きすぎると、コピーではありませんが、著作権から言って、本が売れなくなったら申し訳ない。後は、興味を持った方は本を読んで下さい。
うっかりすると、この本は聞き手の鮫島さんが饒舌で間違って鮫島さんの主張も混在してしまっているかもしれません。でも、泉さんという人の伝えようとしている政治。国民のために頑張るひとを市民が声を伝えていってこそ、日本はよくなる。そう思えたことでした。宗教団体に頼って、自分たちの議席獲得を第一義にしているような政治には、もうしっかり決別しないと~と思えたことでした。
こういう人が首相になったら、日本はどうなんでしょうね。「市長はやめたけれど、政治に携わることはやめない」と最後に語った泉さんが日本の政治にカツを入れて変えてくれるのを応援したいと思いました。
さあ、今日は満月が昇ってきました。満月パワーで、「冷たい社会を優しくする」国民の味方の人たちを応援したいと思います。
<2024年2月24日18:14>