58年前(1966年)に起きた殺人事件の犯人と疑われ、死刑判決を受けてから44年となる袴田巌さん(88歳)に無罪判決が出た。東京新聞では1面に大きく再犯無罪を伝える記事を出した中で、「袴田さんに おわびします」と囲み記事で謝罪文を出していた。
58年前に掲載した記事の見出しを明らかにしながら、 「逮捕段階では罪が確定していないのに、袴田さんを『犯人』と報道した本紙にも、冤罪を生んだ責任はあります。 本紙は現在、容疑者を犯人と決めつけない「事件報道ガイドライン」を策定しています。今後も余談や偏見を排した冷静な報道を続けてまいります」
と謝罪すると共に、その後の反省とその後に対策をとったことが書かれていた。東京新聞らしいやり方に、読んで拍手を送りたいと思った。
朝日新聞では、1面に東京新聞のような謝罪文こそ出してはいなかったが、下記のように報道の問題について触れるコメントをだしていた。他社も一緒に併せてみんなそんな時代にいて、その後人権に配慮するようになった~ということだろう。
袴田さん逮捕の頃には、本人が否認していたのに、記者たちは逮捕がいつかを焦点に競い合っていたことを振り返り、人権意識が薄かったと伝えている。報道各社が80年代からは見直しが始まり、容疑者の呼び捨てをやめ「○○容疑者」とし、朝日新聞では、現在捜査当局による情報は断定的に書かない。容疑者・弁護側の主張、反論をきちんと扱う~などと定めているようだ。
さて、さらに他紙は?と思い新聞を買いにいったが、読売しか残っていなかった。その読売新聞には、このような足下の自分たちの報道についてのコメントはまったく見当たらなかった。
ところで、冤罪事件で私が思い出すのは、松本サリン事件だ。こちらは、袴田さんの事件に比べればその後のサリン事件で真犯人が早めに明らかになり、冤罪と判明した。でも、事件の最初は、松本サリン事件に(ウィキペディア)にあるように、当初は会社員の河野さんが犯人扱いで報道された。それについて、「冤罪報道の見出し」として前述のウィキに当時の各社の報道が簡潔に纏められている。
自白があっても、証拠があると警察がいっても、容疑者の段階ではまだグレーであることを忘れずに人権を守る姿勢。法律では「疑わしきは、罰せず」という基本姿勢があることを忘れず、報道もその精神を大切に過去の誤報道にしっかり向き合い、間違いのない「報道」を心がけている新聞を読みたいモノだ。
*残念ながら、産経新聞、毎日新聞、日経新聞は入手できなかった。市内の図書館が休館で新聞を今は読めないので、10月に再開したら、過去の新聞で確認してみたいと思う。あなたが、それらの購読者なら、是非あなたの新聞で確かめて、同様の謝罪やコメントがあったか是非お知らせ下さい。
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