年頭所感
騒がしかった一年が終わり新しい年が始まった。昨年は子年でもあり、いろいろな意味で新しいスタートの年になるのではないかというようなことを申し上げた。それがこんな感染症のパンデミックと騒がれる年になるとは思わなかったのではあるが、そのとき、トヨタ自動車の世界的な繁栄の陰に毎年幹部社員が長野蓼科の聖光寺に集結して交通安全祈願と交通事故死者への追悼を続け、奈良薬師寺の長老から法話を聞くということをされてきたという話をした。
橋本凝胤老師開基のこの寺は1970年創建だから、昨年で50年になる。一般には公開せずにされてきたと言うが、そうした陰徳を積むということによってトヨタは今の繁栄がある。そして今、世界的に自動運転技術が競われる中で、ギル・プラットという有名なAI技術者はその聖光寺の話を聞いてトヨタに協力を申し出られ、さらなる次世代のAI技術を駆使したスマートシティ構想を掲げて未来都市を創造しようとしているという。私たちも人知れず陰徳を積むことを特に今年は心掛けようと申し上げた。
陰徳を積むということはいつの時代でも大切なことであろう。仏教は智慧と慈悲の教えであるといわれるが、陰徳を積むというのは他者にする行為としては慈悲に該当する。しかし、今年は智慧を開発することをまずは大切にしてはいかがかであろうかと申し上げたい。智慧といわれると、それは崇高なもので自分には縁のないもの、どんなものか見当もつかないと思われるかもしれない。しかし、仏教徒にとってそれはいつの時代にあっても捨て去ることのできないものである。そもそも仏教はこの世の真実を知ることによって苦しみからの解放を成し遂げる教えであるからだ。
私たちの悩み苦しみは真実を知ることによって楽になり、安心を得られる。例えば、受験生が志望校選定に迷うのも、願書を出すことで解消し、試験を受けてから合否に思い煩うのも結果が判明した途端に解消する。おかしなものを食べてもいないのに腹部に異様な痛みがある、何か悪い病気かもしれないと思い悩むのも、病院に行き検査してもらいただの胃炎だと分かれば悩みは瞬時に解消する。怖いと思う感染症も、感染とは何か、検査法についてなど自ら調べてその真実を見極められたら、何でこんなことで大騒ぎするのかと思える。
大切なことは、真実を知ろうとする姿勢、物事の真実を知る探求心ではないかと思う。お釈迦様は、身近な現実からの観察をすすめられた。インド世界では古来この世は神々によって創造され、神の意によって人々の禍福もあると信じられていた。そうした社会にあって、お釈迦様は、神々の世界を超越し妄信することなく、この自分自身の身と心に入ってくるもの、音、匂い、味、感触、心中の観察から探求されて、この世を無常と捉えて、すべてのものが無我である、空であると悟られたのではなかったか。
いま私たちの心に巣くう恐怖心は何から根差したものかと考えるとき、それは毎日目や耳から入る情報によってであろう。それらの情報に反応し、恐怖心を植えつけられ、その情報の正誤も問うことなく黙々と受け入れ、言われるがままに指示に従って右往左往しているにすぎない。数年前、重篤な症状を引き起こす新型インフルエンザに罹患した時、かなり症状が出てから病院に行き、検査を受けインフルエンザと判明した。インフルエンザは、一昨年まで毎年一千万人ほどが感染し、三千人もの人が亡くなっているという。それに対し、昨年の12月29日時点で新型コロナの感染者は22万人、死亡者は3400人となっている。この感染者はPCR検査陽性者であって、この8割の人たちは無症状者であるのに対し、インフルの感染者はすべて症状が顕著に表れての感染者数である。新型コロナの死亡者の中には他の病因で死亡した人も多分に含まれている。こうした事実だけをとらえてもテレビ新聞のメディアによる報道の異常さが見えてくるのではないか。
また、今誰もが外出するときにはマスクを携帯し、街中であったり、電車の中でマスクをしていない人は異常者とみなすような社会になりつつある。だから誰もがそうした同調圧力によりマスクをしていたらいいと考えなされているように思える。しかしそもそもマスク予防は無症状感染者からの感染がありうるとの仮説から導き出された処置である。だが専門家によれば、会話時の飛沫の映像は紹介されても、その飛沫にどれだけのウイルスが存在するのか実証実験した事例はないという。無症状ということは、ウイルス数が少ないことを意味しており、他者に感染させることはあり得ないとの見解もある。そもそもマスクにはウイルスを予防する効果はなく、さらにマスクを常時することによって細菌がマスク内に繁殖し不衛生極まりないとする専門家もある。さらには春ころにはワクチンが大きな社会問題として浮上してくるであろう。そしていま、第三波といい全く害悪そのものでしかない緊急事態宣言も検討されるような状況を作り出し、営業自粛を強いる飲食店観光業などをはじめとする中小零細企業の経営者や従業員の方々にはさらなる負担がのしかかる。自殺者がこの夏頃から急増していることは大手メディアでは触れられることもない。
メディアは、さらには国や自治体は何をもってこの事態を引き起こし、新しい生活様式によって私たちをいかなるところへいざなおうとしているのかと考えを進めていかねばならないだろう。真実は何か。最近新聞テレビで気になる言葉が飛び交う。リモート、オンライン、冒頭にも述べた自動運転、スマートシティ、さらには、5G、グレート・リセット、ベーシックインカム・・・。
私たちはこれまで通りの自由で、思い通りにどこにでも行けて、だれとでも会うことのできる世の中であってほしいだけである。世界の人たちと自由に行き来して、平和に暮らしたいだけなのである。いま、コロナでもないのに入院している身内の面会も拒否され、親の死に目にも会えない人がいる。施設に入る老親に会うことも拒まれる世の中である。こうした行き過ぎた感染予防はどのような権限によってなされているものなのか。病院や施設にいる人は強制的に隔離されている。全く私たちの基本的な人権さえも侵害されている、おかしな現実に気づかねばならないだろう。親にも会わせてもらえない世の中に私たちは生きている。
だが、考えてみれば、2500年前お釈迦様の時代もそうだったのかもしれない。王や統治者階級以外の人民に今日のような人権などというものがあろうはずもなかった。しかし世捨て人である出家者には自由な往来が認められていた。社会と距離を取り、着かず離れずで托鉢によって食を乞うことに甘んじて生きていくことにお咎めはなかった。これからの社会は推奨される生活様式に異を唱える、それに沿わない者たちはインド社会では今も存在している出家の遊行者になる覚悟を要求するのかもしれない。社会からの隔離である。今年は智慧の開発を大切にしてはいかがかと申し上げたが、この世の中の真実、現実を知ることは価値観の転換を要求するものでもあることも知っておかねばならないであろう。そうしてこそ心の平安も得られる。そして、いかなる世の中になったとしても、それも無常にすぎないのだ。
世界医師同盟の世界のすべての市民と世界のすべての政府への公開書簡に賛同します
https://worlddoctorsalliance.com/
日本の医師専門家によるWeRise共同宣言に賛同します
http://www.werise.tokyo/
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騒がしかった一年が終わり新しい年が始まった。昨年は子年でもあり、いろいろな意味で新しいスタートの年になるのではないかというようなことを申し上げた。それがこんな感染症のパンデミックと騒がれる年になるとは思わなかったのではあるが、そのとき、トヨタ自動車の世界的な繁栄の陰に毎年幹部社員が長野蓼科の聖光寺に集結して交通安全祈願と交通事故死者への追悼を続け、奈良薬師寺の長老から法話を聞くということをされてきたという話をした。
橋本凝胤老師開基のこの寺は1970年創建だから、昨年で50年になる。一般には公開せずにされてきたと言うが、そうした陰徳を積むということによってトヨタは今の繁栄がある。そして今、世界的に自動運転技術が競われる中で、ギル・プラットという有名なAI技術者はその聖光寺の話を聞いてトヨタに協力を申し出られ、さらなる次世代のAI技術を駆使したスマートシティ構想を掲げて未来都市を創造しようとしているという。私たちも人知れず陰徳を積むことを特に今年は心掛けようと申し上げた。
陰徳を積むということはいつの時代でも大切なことであろう。仏教は智慧と慈悲の教えであるといわれるが、陰徳を積むというのは他者にする行為としては慈悲に該当する。しかし、今年は智慧を開発することをまずは大切にしてはいかがかであろうかと申し上げたい。智慧といわれると、それは崇高なもので自分には縁のないもの、どんなものか見当もつかないと思われるかもしれない。しかし、仏教徒にとってそれはいつの時代にあっても捨て去ることのできないものである。そもそも仏教はこの世の真実を知ることによって苦しみからの解放を成し遂げる教えであるからだ。
私たちの悩み苦しみは真実を知ることによって楽になり、安心を得られる。例えば、受験生が志望校選定に迷うのも、願書を出すことで解消し、試験を受けてから合否に思い煩うのも結果が判明した途端に解消する。おかしなものを食べてもいないのに腹部に異様な痛みがある、何か悪い病気かもしれないと思い悩むのも、病院に行き検査してもらいただの胃炎だと分かれば悩みは瞬時に解消する。怖いと思う感染症も、感染とは何か、検査法についてなど自ら調べてその真実を見極められたら、何でこんなことで大騒ぎするのかと思える。
大切なことは、真実を知ろうとする姿勢、物事の真実を知る探求心ではないかと思う。お釈迦様は、身近な現実からの観察をすすめられた。インド世界では古来この世は神々によって創造され、神の意によって人々の禍福もあると信じられていた。そうした社会にあって、お釈迦様は、神々の世界を超越し妄信することなく、この自分自身の身と心に入ってくるもの、音、匂い、味、感触、心中の観察から探求されて、この世を無常と捉えて、すべてのものが無我である、空であると悟られたのではなかったか。
いま私たちの心に巣くう恐怖心は何から根差したものかと考えるとき、それは毎日目や耳から入る情報によってであろう。それらの情報に反応し、恐怖心を植えつけられ、その情報の正誤も問うことなく黙々と受け入れ、言われるがままに指示に従って右往左往しているにすぎない。数年前、重篤な症状を引き起こす新型インフルエンザに罹患した時、かなり症状が出てから病院に行き、検査を受けインフルエンザと判明した。インフルエンザは、一昨年まで毎年一千万人ほどが感染し、三千人もの人が亡くなっているという。それに対し、昨年の12月29日時点で新型コロナの感染者は22万人、死亡者は3400人となっている。この感染者はPCR検査陽性者であって、この8割の人たちは無症状者であるのに対し、インフルの感染者はすべて症状が顕著に表れての感染者数である。新型コロナの死亡者の中には他の病因で死亡した人も多分に含まれている。こうした事実だけをとらえてもテレビ新聞のメディアによる報道の異常さが見えてくるのではないか。
また、今誰もが外出するときにはマスクを携帯し、街中であったり、電車の中でマスクをしていない人は異常者とみなすような社会になりつつある。だから誰もがそうした同調圧力によりマスクをしていたらいいと考えなされているように思える。しかしそもそもマスク予防は無症状感染者からの感染がありうるとの仮説から導き出された処置である。だが専門家によれば、会話時の飛沫の映像は紹介されても、その飛沫にどれだけのウイルスが存在するのか実証実験した事例はないという。無症状ということは、ウイルス数が少ないことを意味しており、他者に感染させることはあり得ないとの見解もある。そもそもマスクにはウイルスを予防する効果はなく、さらにマスクを常時することによって細菌がマスク内に繁殖し不衛生極まりないとする専門家もある。さらには春ころにはワクチンが大きな社会問題として浮上してくるであろう。そしていま、第三波といい全く害悪そのものでしかない緊急事態宣言も検討されるような状況を作り出し、営業自粛を強いる飲食店観光業などをはじめとする中小零細企業の経営者や従業員の方々にはさらなる負担がのしかかる。自殺者がこの夏頃から急増していることは大手メディアでは触れられることもない。
メディアは、さらには国や自治体は何をもってこの事態を引き起こし、新しい生活様式によって私たちをいかなるところへいざなおうとしているのかと考えを進めていかねばならないだろう。真実は何か。最近新聞テレビで気になる言葉が飛び交う。リモート、オンライン、冒頭にも述べた自動運転、スマートシティ、さらには、5G、グレート・リセット、ベーシックインカム・・・。
私たちはこれまで通りの自由で、思い通りにどこにでも行けて、だれとでも会うことのできる世の中であってほしいだけである。世界の人たちと自由に行き来して、平和に暮らしたいだけなのである。いま、コロナでもないのに入院している身内の面会も拒否され、親の死に目にも会えない人がいる。施設に入る老親に会うことも拒まれる世の中である。こうした行き過ぎた感染予防はどのような権限によってなされているものなのか。病院や施設にいる人は強制的に隔離されている。全く私たちの基本的な人権さえも侵害されている、おかしな現実に気づかねばならないだろう。親にも会わせてもらえない世の中に私たちは生きている。
だが、考えてみれば、2500年前お釈迦様の時代もそうだったのかもしれない。王や統治者階級以外の人民に今日のような人権などというものがあろうはずもなかった。しかし世捨て人である出家者には自由な往来が認められていた。社会と距離を取り、着かず離れずで托鉢によって食を乞うことに甘んじて生きていくことにお咎めはなかった。これからの社会は推奨される生活様式に異を唱える、それに沿わない者たちはインド社会では今も存在している出家の遊行者になる覚悟を要求するのかもしれない。社会からの隔離である。今年は智慧の開発を大切にしてはいかがかと申し上げたが、この世の中の真実、現実を知ることは価値観の転換を要求するものでもあることも知っておかねばならないであろう。そうしてこそ心の平安も得られる。そして、いかなる世の中になったとしても、それも無常にすぎないのだ。
世界医師同盟の世界のすべての市民と世界のすべての政府への公開書簡に賛同します
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