活版印刷紀行

いまはほとんど姿を消した「活版印刷」ゆかりの地をゆっくり探訪したり、印刷がらみの話題を提供します。

ミラノに400年前敏腕なライターがいた?

2011-07-01 10:54:28 | 活版印刷のふるさと紀行
 天正遣欧使節については、松田毅一さんの『天正遣欧使節』(講談社)が
いちばん読まれている思います。
 また、新しいところでは若桑みどりさんの『クアトロ・ラガッツィ』(集英社)も
かなり読まれた本です。

 おふたりとも大学教授であり、ヴァティカンの図書館やウルバヌス八世大
学付属図書館やイエズス会の協力を得られたから資料探しもわれわれ一般
事家よりもスムーズに行ったに違いありません。

 豫家さんから教えていただいた『ウルバーノ・モンテ年代記』は伊川健二
さんの丁寧な訳が原文に添えられていましたから、容易に読み進めることが
できて暑さを忘れることができました。松田毅一さんはモンテ年代記の天正
遣欧使節をかなり執筆の参考にされていたなと思いました。

 興味深かったのは使節に同行したポルトガル人司祭ガスパロ・ゴンザレス
が、4人の使節や大村純忠はじめ彼らを派遣したことになっている領主につ
いて話した演説と4人の使節ひとり、ひとりと同行のメスキータ司祭について
の肖像に添えられた「8行詩」が紹介されていたことです。

 また、日本人紹介の中で、《彼らはわれわれのように本を出版する。それ
どころかわれわれよりも以前に出版の技術を知っていた》といい、日本人が
あまりにも繊細に抄かれた紙に実に繊細で華麗な文字をを書くので印刷する
のが難しいのではないかと心配までしてくれています。

 少年使節一行がミラノに滞在したときに、聞き取り取材をしてまとめたと
伊川さんは想像しておられますが、それにしても、400年前に、イタリア
に敏腕ならいたーがいたものです。


コメント
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