活版印刷紀行

いまはほとんど姿を消した「活版印刷」ゆかりの地をゆっくり探訪したり、印刷がらみの話題を提供します。

鉛の活字の思い出

2011-07-26 17:11:22 | 活版印刷のふるさと紀行

 
小学校が夏休みになりました。

 何十年も前のことですが、首からスタンプカードをぶらさげてラジオ体操に
通ったこと、泊りがけで海水浴に行ったこと、朝顔の観察日記や絵日記がめん
どうだったこと、なんだか思い出の宝庫です その宝庫の中にひとつだけとい
いますか、こんな思い出があります。
 たしか町の花火の日でした。
 「オレんちの物干し台から見るといいぞ」というガキ仲間の家にまだ明るい
うちに押しかけました。彼の家ははがきや名刺や挨拶状などを印刷する端物屋
でした。

 そこで、彼の親父さんが私の名前の鉛の活字を「そらっ」といって手渡して
くれたのです。漢字4文字だけですが、銀色で角ばった小さな鉛活字を宝石み
たいにきれいで美しいと感じました。
 4文字を糸でしばってハンコがわりにして本やノートに押してみたりして、し
ばらく遊び道具として楽しみました。
 おそらく、あれが私と活字との出会いでした。
 
 いまの小学生は「印刷」ということばから、パソコンを使ってコピー機の印
刷することをイメージするそうです。
 来週から印刷博物館で夏休みの子供たちが「印刷」と親しむイベントがはじ
まります。夏休み体験教室と銘打ったワークショップで製本・活版印刷・寒天
印刷と3つが用意されているようですが、はたして鉛活字の手触りから「印刷」
を脳裏に刻み込んでくれるでしょうか。
  
コメント
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