活版印刷紀行

いまはほとんど姿を消した「活版印刷」ゆかりの地をゆっくり探訪したり、印刷がらみの話題を提供します。

絵本と印刷

2011-07-06 09:38:00 | 活版印刷のふるさと紀行
 今朝、なにげなくラジオを聴いていましたら「絵本」のことを熱っぽく
語っている人がいます。どなたただろうと耳を傾けていたらすぐにわかり
ました。
 岩崎ちひろさんのご子息松本 猛さんでした。もちろん面識はありません。
岩崎ちひろさんとは、まだ、「童画会」があったころ、展覧会場で一度だけ
お目にかかったことがありました。

 東京のちひろ美術館や安曇野ちひろ美術館は何度か足を運びました。友人
に絵本作家がいたり、偕成社の編集に友人がいたりしたこともあって、以前
から絵本には縁がありました。

 松本さんの話は以前は絵本作家が画家より下に見られた時代があったとか
絵本制作のための原画が編集者にネコババされて作家の手に戻らないことが
あったというような話から、母、ちひろさんの思い出、『はらぺこあおむし』
で有名なエリック・カールとのおつきあいエピソードや赤羽末吉さんの話など
幅が広かったので興味ぶかく聴きました。

 とにかくちひろ美術館には、日本と世界の絵本作家の原画が2万6千点も
所蔵されていると聞いたことがありますから大変なものです。

 松本さんの話の中で「原画」を集める動機のひとつに、絵本は「印刷」さ
れたことで、「原画」の情報量が落ちてしまう。やはり、「原画」に触れて
もらうことが大切だからというのがありました。

 たしかに、色分解製版でフィルムを何枚も使ってオフセットで印刷した時
代はその問題がありました。カメラ撮りの巧拙や印刷の色数の制約もあった
かもしれません。絵本の印刷用紙の問題もありました。しかし、デジタル製
版や高精細印刷時代の今日、かなり、良くなっています。

 余分なことですが絵本作家に限らず、印刷に作品を提供する画家・グラフ
ィックデザイナー・カメラマン・イラストレーターに印刷界はもっとデジタ
ル時代の製版や印刷について知ってもらうべきではないでしょうか。

コメント
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