活版印刷紀行

いまはほとんど姿を消した「活版印刷」ゆかりの地をゆっくり探訪したり、印刷がらみの話題を提供します。

「オンデマンド印刷」は以前もあった

2012-03-29 11:57:48 | 活版印刷のふるさと紀行
 オンデマンドばやりです。かくいう私もNHKテレビの見落とし番組をオンデマンドで
追っかけていますし、稀覯書(きこうしょ)の版元からオンデマンド出版で史料を購入する
こともあります。

 近頃、「オンデマンド印刷」もよく耳にします。少部数の同人誌や句集などの本作りに利
用する人が増えているようです。パソコンで原稿が印字されていれば、短時間で印刷して、
製本してくれるのでオンデマンド印刷所はうれしい存在です。

 オンデマンド印刷などというと新しいように感じますが、文字通り、オンデマンドでクラ
イアントの要求にこたえる印刷なら、以前からありました。私が知っているきわめつけの
オンデマンド印刷の例を思い出しました。

 皇室の偉い方や外国からの賓客が列車で旅行される場合を思い浮かべてください。車窓から
走り去る沿線の名勝を楽しんでいただくための印刷物が必要になると、鉄道会社のの方が考え
たのでしょう。
 車窓の風景をスケッチした原画を「絵巻物ふう」に印刷する仕事が生まれるのです。原画を
描く人も大変なら印刷する会社も大変です。それに、納本するのはせいぜい正副1部ずつ、
まさに少部数のオンデマンド印刷でした。

 色校正は最低3度、印刷はオフセットの校正機でした。昭和の40年代の終わりの話ですから
そんなに大昔のことではありません。
 今ならどうするのでしょうか。あらかじめ、入念に車窓風景を撮影しておいて、タブレット端
末などが使われるのではないでしょうか。




コメント
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