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本好き人の365日

『ビブリア古書堂の事件手帖3 ~栞子さんと消えない絆~』

2012-06-21 20:27:20 | 日本人作家

本のこととなるとおしゃべりが止まらないくせに、普段は極端な人見知りという、美人で本の虫の古書店店主「栞子(しおりこ)」さんが活躍する、大好評の古書店ミステリーシリーズ。

 

その第3弾、『ビブリア古書堂の事件手帖3 ~栞子さんと消えない絆』(メディアワークス文庫)を読みました。

 

 

 

  

 

 

 

今回は取り上げている本が何とも私好みで嬉しい♪

SF作家ロバート・F・ヤングの『たんぽぽ娘』

宮沢賢治の『春と修羅』

 

SF作品でありながら、ロマンチックな作風が多いロバート・F・ヤングは私の大好きなSF作家。

一押しは『ジョナサンと宇宙クジラ』(ハヤカワ文庫)という短編集ですが、この『たんぽぽ娘』も面白そう!

今回は古本屋の職業ギルド、「古書組合」で行われている古書交換会、通称「市場」で、この「たんぽぽ娘」の盗難事件が発生します。

古本屋がそれぞれ売りたい本を持ち寄り、入札で買いたい本を仕入れていく「市場」

独特の雰囲気があるみたいで、入札方法や業者同士のやりとりなど、普段目にすることのできない裏方を見ているようで楽しい。

今回、栞子さんの意外な一面も明らかになります☆

 

『春と修羅』は私が中学生の時に初めて買ってもらった詩集。

熱を出して学校を休んだその病床の中から、「何でもいいから詩が読みたい」と親に頼んで買って来てもらったという、何とも恥ずかしい思い出があります(苦笑)

宮沢賢治が生前に出版した本は、この『春と修羅』と『注文の多い料理店』の2冊のみ。

しかも自主出版に近く、売れ残りの多くを賢治自身が引き取ったのだとか。

今でこそ有名ですが、その他の作品は賢治の死後、支援者によってまとめられ出版されたのだそうです。

その珍しい『春と修羅』の稀覯本(きこうぼん)が、今回ある老人の遺産の一部として登場するのですが、その価値が驚き!

まさか何百万円もするなんて思いもしませんでした!!

いやぁ、古書ってスゴイ。

 

それぞれの本に、さまざまな人の思いが込められていて、謎解きというより「人の思いをたどる旅」のような古書にまつわるミステリー。

栞子さんの母親の謎も、少しだけ進展が見られます♪

美人の古書店主に思いを寄せるバイトの五浦くんと栞子さんの仲も進展…するのかな?

ま、謎解きが無くても、古書に関する知識を読んでいるだけでも楽しいです。

今日なんて、本屋さんで思わずロバート・F・ヤングの『たんぽぽ娘』を探してしまいました☆

 

本屋さんでは7月7日にアニメーション映画が公開されるということで、宮沢賢治の「グスコーブドリの伝記」関連の本も山積みされていました。

登場人物が擬人化された猫の姿で描かれるというのは、名作「銀河鉄道の夜」と同じ。

賢治の作品の中でも、「グスコーブドリの伝記」は好きな作品なので期待大です。

 

「ビブリア古書堂」は面白いのですが、物語に登場する本が読みたくなるというのは困りもの。

百円くらいの均一台ならともかく、高価な稀少本にはさすがに手が出ませんからね~

今日はとりあえず、先月読んだ本の中で宮崎駿監督が選んでいた少年文庫の中から、M・M・ドッジ夫人の『銀のスケート ハンス・ブリンガーの物語』(岩波少年文庫)を購入してきました♪

宮崎監督が読んだらオランダに行きたくなったという、幼い兄妹の物語。

このドッジ夫人がつくりだしたアメリカで一番立派な少年少女のための雑誌、「セント・ニコラス」には、あのオルコットの『若草物語』や、バーネットの『小公子』も連載されていたんですって!

この本が出版された後、初めて二人の子供を連れてオランダを訪れたドッジ夫人。

立ち寄った本屋で、「オランダの生活が一番よくわかるように書かれた本はないか」と子供の一人が聞いたところ、オランダ語訳された『ハンス・ブリンガー』が出てきたとか♪

これから楽しみに読みたいと思います☆