Il film del sogno

現実逃避の夢日記

白いリボン

2010-12-25 02:42:00 | 日記
12/24(金)晴れ
睡眠2時間弱。いつもの奉公。年末の挨拶廻りで都心を徘徊。昼食に焼き肉を驕る。ゆりかごの様な車中で30分ほど熟睡。夜は新宿・武蔵野館で独逸映画のレイトショウを鑑賞。監督は忘れ難き『ピアニスト』を撮った鬼才。当時の備忘録から抜粋。
≪2002年2月17日 横浜・関内アカデミー、平日最終回楚々とした二~三十代の単身女性中心に観客20名前後。R-15の指定あり。しかし、この映画は一体どういった客層を想定しているのか理解に苦しむ。文化の薫り漂うウィーンを舞台にした仏・墺合作。中年ピアノ教師とそれに惚れた青年の恋愛(?)物。ヒロインは常に毅然とし孤高で理知的、妥協を許さぬ能面をつけた鉄の女性。実は彼女はとんでもねぇおばさんなのであるが・・。プロットやエピソードを書いても意味はない。恋愛に規範や標準など無くてもいいが、これは大多数の想像する節度を遥かに越えている。とにかく超難役に挑んだイザベル・ユペールがつくる表情は入神の演技。これに品行方正、文武両道、輝かんばかりの好青年(ブノワ・マジメル)と偏執・偏屈・偏狭な母親(アニー・ジラルド)が絡んで、この仏名優三者の競演、アンサンブルは見事。長廻しを基本とした恬淡とした細部の描写と小道具の使い方も上手い。全編、甘美なクラッシックの調べが作中人物の心象を表し、高尚な音楽映画の趣もあり。されど、ショッキングなラストシーンに続き、余韻さえも与えてくれないエンドロール。自分の撮る作品に気晴らしや娯楽性は皆無、と断言するオーストリア出身のミヒャエル・ハネケ監督。ヒロインに対する冷徹な扱い同様、観客に対しても最後まで徹底して人が悪い。≫
本作も2時間半と云う長尺であるが、緊密な画面構成とある種のサスペンティックな展開には観客の集中力が要求される。各エピソードには隠喩や暗喩で説明もつこうが、したり顔をすると作者に嗤われそうな底意地の悪い映画である。今回もエンドロールは無音である。能天気なエンターテイメントも映画なら人心や国家の暗黒を描くのも映画。痺れた頭を振ってカフェで一服。終電に乗って定刻帰宅。TBSの深夜音楽番組を漫然と見る。聖夜かいな。
誰にでもなく、メリー・クリスマス。
コメント
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