白人が黒人を殺しても罪に問われない南部の綿農場で、農場主の白人に母親はレイプされ、父親を目の前で撃ち殺された少年が、ホワイトハウスの執事になって、オバマ大統領誕生までを見守る映画だ。
徹底的に、黒人差別の歴史を、黒人一家を通して描いている。だから、大統領が7人分の歴史が描かれててもとっても整理されてて見易い。
そして、とっても真面目に作られている。
父は空気のように職場でコツコツ働き、長男が差別撤廃のために国と戦い、弟は国のために戦う。妻は、寂しさを感じながらも家族を愛し続ける。分かり易い構図だ。
ほんの70年ほどで、南北戦争前かと思う奴隷扱いから、黒人の(おまけにちょっとイスラム系の)大統領誕生って、すごい変化だよなあ。だから、お父さんの、積極的に反対活動に参加しなくても、少しずつ少しずつ、良い方に向かっているんだから、それでいいじゃなかという行き方の共感できるのは、私が歳を取ったからだろうか。
それにホワイトハウスで働きだしたとたん、日本では「三丁目の夕陽」の時代、あんな立派な1軒屋に住んで、自動車持ってて、二人の子供を大学に行かせるなんて、アメリカの北部って凄いよなあ、と感心。それで、白人の6割の給料だったなんて。
う~ん、日本もよくここまで頑張ったもんだ。と、別の事に感心する日本人の私。
いろんな役者さんが出てたのも面白かった。良い人しかいないホワイトハウスの黒人の同僚も、皆脇役として有名人だし、大統領達も外見が似ていたり、雰囲気が似ていたり。レーガンのアラン・リックマンは、しゃべるとスネイプ先生だったが、レーガンってあんなしゃべり方だったっけ?
マライヤ・キャリーがどこに出てるか分からなかったから、調べたら、えっ~!お母さんだったのか!びっくり!
映画界の黒人問題にも触れてた。シドニー・ポワチエのアカデミー賞受賞の話や。エディ・マーフィーが、人気絶頂の80年代前半、アカデミー賞授賞式で「どうせ黒人は、賞を取れないのさ」と発言してビックリしたけど、この映画の主人公を演じたウィンテカーはじめ、今は大勢受賞してるし・・・。映画業界だって、変わり続けていってるし。
アメリカの、この時代の基本的歴史を勉強した後に、アメリカはもちろん、日本も、いろんな国の中学生、高校生が、社会勉強として見に行った方がいい映画だと思った。