第80回ゴールデングローブ賞で作品賞(ミュージカル/コメディ部門)、主演男優賞(ミュージカル/コメディ部門)コリン・ファレル、脚本賞受賞し、第95回アカデミー賞作品賞、監督賞、主演男優賞、助演男優賞 、助演女優賞、脚本賞、作曲賞、編集賞の主要8部門9ノミネート。
でも、Yhoo!映画でのレビュー評価は低い。でも、アイルランドの島が舞台だしなあ、コリン・ファレルがゴールデングローブ賞で主演男優賞を受賞しているし。
映画は冒頭からしっかりアイルランドの孤島、ってかロケ地アラン諸島じゃん。実際、アラン諸島のイニシュモア島、イニシュマン島、イニシアー島でロケをしたらしい。イニシェリン島は本土がすぐそばで内戦の砲撃が見える島という設定だけど、あの石垣はアイルランドの西側の海だ。実際、断崖絶壁のシーン、パードリックとドミニクが石垣(本当は遺跡)に腰掛けるシーンとパードリックが妹シボーンを見送るシーンは、私も行ったイニシュモア島のドン・エンガスだ。
監督は「スリー・ビルボード」のマーテイン・マクドナーだ。だから、そんな感じ。確かに評価は分かれるなあ。若い人はつまんないだろうなあ。
私には忘れずに心に残る映画だ。冒頭と最後のドローン撮影の島の平地の四角い石垣の意味を知ってて、年齢を重ねて友人とのつきあいが40~50年という私には二人の気持ちがとっても良く分かる。
「岩盤で出来たこの島での農業は、土が風で飛ばされないように畑を石垣で囲み、岩盤を槌で砕き海藻と粘土を敷き詰めて土をつくることから始まった。」
そう、貧しくてギリギリ生計を立ててるけど、他に働くすべもなく、娯楽もなく、とにかく暇なのだ。小さなあの島では、人生が暇つぶしなのだ。精神年齢も幼いままだ。小学校の1クラスがクラス替えもないまま、半世紀一緒に年を取っている。
お互いの間で「少し距離を置きたい」なんて便利な言葉がまだない1923年だから、良い大人のはずなのに拗れて、結構酷い嘘をついたり、流血騒ぎになってしまうのだ。今なら精神の病名がつくんだろうが、島じゃあんなもん。
私の現在だって60歳過ぎてまで面倒な人間関係の継続はしたくないから「私、実は〇〇が苦手だから、誘いを上手く断ってくれ」という友人からの依頼が複数ある。自分も前は遊んでたのに、最近ランチを誘ってもやんわり断ってくる人もいる。でも平気。ここは都会だし他にやる事あるから、あまり気にしない。また気が向いたらね!で済む。
そして、アウルランドのあの島。岩盤だらけだから墓を掘る時に、シャベルに石の当たるが響いて、深く掘れないのだ。
妹のシボーンだけが、救いだな。ドミニクはもっと暴走するのかと思ったら、そうかあ。「イニシェリン島の精霊」はあまり早く歩けないはずなのに、要所要所に現れてマコーミックさんの事なのだろうか。コルムの作曲した「イニシェリン島の精霊」も聴きたかったなあ。
コルムを演じたブレンダン・グリーソンって、ドーナル・グリーソンの父親だったのか。ハリー・ポッターで親子共演もしてたのかあ。
コリン・ファレル、アカデミー賞主演男優賞獲れるかなあ。娯楽作で変態ぽい役が多いけど、良い役者だと思うんだが。
見終わった後、ぬるい黒ビールが飲みたくなる映画。