◎宮城遥拝と黙祷からはじまった隣組常会
本日も、戦中における隣組の話である。
村田亨『模範隣組と常会のやり方』(清水書店、一九四一年一月)は、その二三~二四ページで、隣組常会の進行について言及している。
引用してみよう。但し、【 】内は、旧所有者による書き込みである。
五、常会の順序の例
次に東京市に於て開いてゐる進行順序を御参考までに掲げませう。
《一、開会の挨拶……(組長、司会者)
一、宮城遥拝………宮城〈キュウジョウ〉の方へ向つて一同正しく座し組長の号令【日本間て畳ノ時ハ座礼(但シ座布団ハサケヨ)洋間椅子ノ時ハ立礼】
「宮城に対し奉り最敬礼……直れ」
一、黙祷……同じく組長の号令
「皇軍の武運長久と靖国の英霊に対し、黙祷を捧げます……(約一分間)……黙祷を終ります」
一、国歌奉唱……組長の合図により君が代一回
一、市長の通達及報告……町会常会に於て隣組長其の他の会合の場合市役所又は区役所よりの通知と協議懇談された事の報告を組長がなす。
一、協議懇談申合せ……隣組員より提出した議題(問題)について相談をなし、議決(決める)す。或は定まらない場合、次の会までお互ひに考へる。
一、講話(隣組の場合、特別の場合を除く他必要なし)
一、和楽……お互ひに生活問題や其の他のお話しをして、中には茶話会式にする所もある。国民歌謡や其他軍歌等の練習、又はお互ひのかくし芸等をする。
一、閉会の挨拶……組長(司会者)
この時次回の日と時間と場所とを明かに組員に知らせなくてはなりません。》
これは必ずしも行はなければならないと云ふのではありません。其の時の都合によづて適当に順序を定めてよいのです。
「東京市に於て開いてゐる進行順序」の中に、「和楽」という言葉が出てくる。この言葉は、今日では死語に近く、日常で使われることはあまりない(雑誌の名前や飲食店の名前としては、今も使われている)。この「和楽」という言葉は、当時、懇談と娯楽とを合わせたような意味で使われていたようだ。