◎『岩波文庫解説目録』と『岩波文庫分類目録』
岩波文庫には、かれこれ半世紀以上、お世話になっている。最初に買った岩波文庫は、『方丈記』で、定価は四〇円だったと記憶する(★ひとつ)。
一九六七年は、岩波文庫の創刊四〇周年にあたっており、それを記念する『岩波文庫解説目録』が出た。たしか表紙には、「創刊40周年記念」(?)という朱文字があり、巻末には、「品切書目一覧」が付いていた。
これを入手してからしばらくは、古本屋の棚で、岩波文庫の「品切書目」を探すのが趣味になった。ちなみに、この創刊四〇周年の『岩波文庫解説目録』には、巻末には、「品切書目一覧」が付されていないバージョンもあったようだ。
その後も、『岩波文庫解説目録』は、何度も入手し、お世話になった。しかし、この『岩波文庫解説目録』とは別に、『岩波文庫分類目録』というものがあることは、昨日まで気づかなかった。岩波文庫とお付きあいを始めてから半世紀、昨日、神保町で、その『岩波文庫分類目録』なるものに遭遇した。
本文二四ページ、表紙を含めると二八ページの貧弱な小冊子である。
表紙には右書きで、「昭和十四年十二月現在/岩波文庫/分類目録/岩波書店」とある。表紙見返しには、岩波茂雄署名の「読書子に寄す」があり、これに(1)というページが振られている。
そのあとが二ページから二二ページまでが本文で、最初に「既刊書目」とあって、冒頭には、次の二冊。
明治天皇御集 全 宮内省蔵版 ★★
昭憲皇太后御集 全 宮内省蔵版 ★★
以下、「国文学」、「日本思潮」、「現代文学」、「東洋思想・文学」、「仏教」、「古代文学」、「英・米文学」、「独・墺文学」、「仏・白文学」、「露西亜文学」、「歴史」、「音楽・美術」、「哲学・教育・宗教」、「自然科学」、「法律・政治」、「経済・社会」という分類にしたがって、既刊一〇六六冊の書名等が列挙されている。
二三ページは、「岩波文庫に就て」。定価についての説明(★ひとつ二〇銭)や、注文に関する説明がある。
二四・二五ページは、「岩波文庫最新刊書」のリスト。
二五ページ(表紙ウラ見返し)には、岩波全書・岩波新書についての紹介がある。
なお、二三ページには、「解説目録/昭和十四年版(定価送料共六銭)御申越頂けば早速お送り申上げます。」とある。『岩波文庫分類目録』とともに、『岩波文庫解説目録』も発行されていたことがわかる。