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2016.3.7 『松籟山』(1,284m)

 

  7日(月)、富良野市の18線林道入口近くで目覚めた。

夜半過ぎまで降り続いた雨は上がり、青空が顔を出していた。

 

 『松籟山』(しょうらいさん)、難しい名をもつこの山に、単体で登ることはめったにない。

いつも『御茶々岳』をセットにして周回している。

18線林道を起点に、ちょうど一周できるいいルートが組める。

 

  7時30分、駐車地をスタート。

18線林道入口まで15分を要した。

前日ほぼ24時間降り続いた雨が林道の雪を融かし、スノーシューがズブズブと埋まる。

これは樹林帯に入ると大変だな、との予想通り・・・

 

 18線川の水音を聞きながら1時間ちょっと歩いて、林道北側の広い斜面に取り付いた。

いやな予想はそのまま的中し、傾斜のある斜面は雪が腐っている。

一歩一歩スノーシューを丸ごと飲み込み、それを引き上げるのが辛い。

従ってさっぱりスピードが上がらず、時間ばかりが経過して行く。

9時45分、ようやく『松籟山』の頂上稜線から東に伸びる尾根の頭に達した。

ここからはアップダウンを繰り返しながら、尾根を忠実に詰めて行く。

しかしながら、尾根の頭に上がって幾分歩きやすくなったものの、雪は相変わらずズブズブと・・・

広い尾根は高度を上げるに従い、狭く傾斜が増して行く。

そして針葉樹林帯から疎らなダケカンバ帯に入ると、背後の景色が一気に開け、圧倒的な高度感が得られる。

高所に弱い人間なら、その光景に酔ってしまうかもしれない。

現にHiromiが、「怖くて振り返れないし、酔ってしまいそう」と言う。

そんなHiromiが滑落しては大変と、詰めではスノーシューを外させ、ツボ足で難関の雪庇に挑むことにした。

11時45分、雪庇下着。

頂上から南に伸びる稜線の東側に張り出したこの雪庇は、高さがある上にオーバーハングしているので、何も道具がなければ突破は不可能だ。

以前それで撤退した経験が有り、今回はスコップを用意し、時間をかけて突破口を掘るつもりで挑んだ。

ところがそこまで登って驚いた。

雪庇が低い。

やはり暖冬小雪なのだ。

極端な話し、通常の半分くらいではなかろうか、雪庇の高さが。

これなら私一人だと楽に突破できるので、ひとり稜線によじ登った。

しかしHiromiは・・・

「登れ」と言えば登るし、登れるだろう。

だが、Hiromiはすぐに、登っても降りられないと、先を見る。

以前にも『狩振岳』の北側登路で、「そんなとこに上がったら降りられないよ~」と半べそをかいたことがあった。

いやいや、それよりも何よりも、Hiromiは足元が落ち着かず、頂上なんかどうでもいいから、一刻も早く下山したいという表情がありありだ。

結局稜線に上がった私もそのまま雪庇を滑り降りて下山を開始した。

下山は下山で、また滑落危険箇所があるので少々神経をつかい、腐れ雪の安全地帯に飲み込まれた。

そして昼食タイム。

のんびりインスタントラーメンをすすった後は、また腐れ雪との戦いだ。

傾斜のきつい尾根を下るのだが、スノーシューが重い雪に飲み込まれて引き抜くのが大変だ。

何度もつんのめって転倒し、スノーシューが脱落する。

 

 13時30分、林道に下りる。

そしてまたてくてくと林道歩きだが、朝二人で固めたトレースは幾分締まっているものの、折からの高温でさらに溶けてズブズブ・・・

 

 14時25分、駐車地着。

いやあ時間がかかった。

苦労した山歩きも、振り返ってみれば「楽しかった」のひとこと。

それが山であり、山好きの我々はやめられない。

 

 前日と同じく、ハイランド富良野で汗を流し、3日間の楽しい山旅の思い出を胸に、幸福感いっぱいで帰途に着いた。

 

 

 

 

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