最近何人かの新規入会者がいて、聞けばみな他塾をやめてきたのだということです。
学習塾にはそれぞれの方針や特色があって、どこが良いとかそうでないとかは一概に言えるものではありません。
極端に言えば、合うか合わないかの違いでしょうか。
でも、判断材料の一つに、個別か集団かの違いは確かにあります。
そして、これは必ずしもその通りだとは言い切れないものの、一般に思われていることとして「集団塾は費用が安く、個別塾は高い」ということがあります。
上に書いたとおり、これは必ずしもそうではないのですが、それについては別の機会に書くとして、ここでは百歩譲って、「集団→安い、個別→高い」をそのまま事実と仮定して考えてみます。
その際必要なことは、そこに通う子供が何を望んでいるのか、保護者が何を期待しているのかを正しく自覚することです。
例えば、個別塾の最たるものは、講師1名対生徒1名の指導スタイルですよね。
対して集団は、講師1名対生徒20人とかが普通です。
当然前者は細かな生徒観察の上に立った綿密で木目細かい指導が可能です。
後者は、そのスタイルからして当然この点に力を入れられず、その分均質の生徒を集めて競争意識を高めつつ先を急いだ授業などが出来ます。
このとき、「うちの子はきめ細かな指導が希望なんです」といって、でも授業料が安い集団でこれをそのまま実現してもらいたいと考えるとしたら、その時点でボタンの掛違いがあります。
いわば、目的地までタクシーで行くか乗り合いバスで行くかの違いがあるのに、安いバスのチケットでタクシーの快適さを求めるのにも似て、それはそもそもからして対等の条件ではないのですから、比較など出来ません。
冒頭に書いた、最近転塾してこられた子の保護者の方も、いみじくもこれについて「勘違いしていました」と仰っていました。
繰り返しますが、集団→安い、個別→高い、という図式が必ずしも成立するものではありませんが、でも、何かと何かを比較するのでしたら、それぞれの条件をしっかり踏まえてからでなければ、そこで得られた(と思ってしまう)結論は歪んだものになってしまいます。