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アフガン・イラク・北朝鮮と日本

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アンクル・トム

2008年03月15日 16時39分18秒 | 都構想・IRカジノ反対!
※注:記事のタイトルを当初の「只の無知なのか、それともずる賢いのか」から標記のものに変更しました。(3月31日追記)

 ほぼ1週間ぶりの記事更新となります。当分はこれ位の間隔での更新となりそうです。米国大統領選予備選、後期高齢者医療制度、民主党首脳の改憲議連参加、「石原銀行」への追加融資問題から、昨日飛び込んできたチベット暴動のニュースまで、記事に取り上げたい話題は一杯あるのですが、じっくり腰をすえて調べて、自分の意見をまとめて文章にするだけの時間がなかなか取れません。
 しかし、それでも最低限、情報発信だけは続けようと思っています。朝から晩まで仕事に追われて飯食って風呂入って寝るだけでは、もう奴隷と同じです。そうして我々ワーキングプアが黙り込んでしまえばしまうほど、テレビの三流芸能番組に巣食う飽食バカウヨ・コメンテーターどもの言いたい放題を許す事になってしまう。そんな状況は真っ平ゴメンなので、たとえ切れ切れではあっても、ブログは続けます。

 以上前置きが長くなりましたが、それで今回は「橋下知事が同和問題をめぐって激論」(産経新聞)というニュースについて少し考えてみたいと思います。
 私がこのニュースを聞いたのは、6日前に、行きつけの鍼灸治療医さんからです。何でも、あの橋下知事が府議会で、同和問題で論戦になった際に、「差別は無くなっていない、私はそれを身近に見てきた」と答弁したらしいという事を、そのお医者さんから聞きました。
 私はそれを聞いて、一瞬訝りました。私は、今の同和行政は解同(解放同盟)の利権漁りの隠れ蓑にしか過ぎず、差別解消にも逆行するものだと思っていますが、ここではその是非は取り上げません。私が訝しく思ったのは、橋下のくだんの答弁内容が、それまでの数々の差別発言と、余りにもかけ離れているからです。「集団買春は中国へのODAみたいなもの」「税金を払わないヤツは生きる資格がない」などの差別発言を繰り返し、柳沢元大臣の女性蔑視発言も擁護し、関西財界の方ばかり向いて、学区制撤廃や私学助成削減で国民の教育権を踏みにじる、挙句の果ては核武装や徴兵制まで肯定する、そういう人物が、こと問題についてだけ涙を流すとは、どう考えても不自然です。

 私がそこでまず最初に思ったのは、「こいつはアンクル・トムの典型ではないか」という事。アンクル・トムというのは、少数民族を弾圧したグルジア人の旧ソ連指導者スターリンや、移民をクズと罵った移民出身のフランス大統領サルコジ、母性保護や労働基本権を否定する人材派遣業社長・奥谷禮子などに、典型的に見られる現象の事です。少数派出身故に、差別から逃れる為に差別に加担する。或いは、時の運や従業員・下請けの協力もあっての事業成功であるのに、全て自分の財力と才覚だけでのし上がったと勘違いする。そして法の網をかいくぐって守銭奴に成り下がり、偽装請負や品質偽装を指弾されても居直る。特に後者は、新自由主義者によく見られる事例です。
 ただ、彼が正真正銘のアンクルトムであるならば、差別にも涙しない筈です。それが涙したのは、彼がまだ新参で未熟者のアンクルトムだからでしょう。しかしそれを以って、良心の目覚めと看做す事も出来ません。それは、彼の涙と日頃の言動とが、全く結びつかないからです。
 それも含めて、本当の所は一体どうなのだろう。そう思い、やっと先日、大阪府議会の議会中継のHPにアクセスして、問題のその遣り取りの一部始終を、初めてじっくり聞く事が出来ました。

 問題の遣り取りは、3月7日に行われた共産党・黒田昌子府議の代表質問の中で起こりました。その代表質問は、同和問題のみならず府政全般にわたって、橋下知事の行政姿勢を問うものでした。例えば、暫定予算案で府立高校の教員数が据え置かれた事で、教育現場が低賃金・不安定雇用の非常勤講師で占められ、風呂敷残業も常態化している事や、母子妊婦検診の公費負担についても据え置かれた事が、質問で問われました。
 それに対する橋下知事の答弁というのがもう、「暫定予算だから前年度のまま踏襲したのだ」「それは市町村の仕事だ」「6月に審議会答申が出るのを待って再度決めたい」と、凡そ全てがこんな調子なのです。実際に議会中継を視聴されたら分かります。これには黒田議員も流石に、「学校の子供たちにとっては暫定も本番も関係ない、新学期からが即本番なのだ」「率先して範を取ろうという気はないのか、知事としてのご自身の考え方は無いのか」と半ば呆れ顔でした。

 私もこの答弁には呆れました。これでは、選挙中に散々ばら撒いた「子供が笑う大阪を」というキャッチは一体何だったのかと思います。若し知事に本気で公約を実現するつもりなら、たとえ急には出来ないにしても、少なくともこんな官僚的な答弁にはなりません。
 そんな中で、同和問題への取り組みについてだけは、「問題は未だ解決をみていない、それを解決したかの様に言う共産党の認識は残念に思う」という趣旨の答弁をしているのです。では仮に百歩譲って、「同和問題は未だ解決していない、差別は今も続発している、共産党の認識が間違っていた」としましょう。そうであるなら尚更、差別を生み出す様な格差社会の現状に対しても、もっと違ったアプローチがあって然るべきです。ところが、母子検診補助も府立高校予算も財政赤字を口実に据え置く一方で、関空・安威川ダム・箕面新町の大型開発には引き続き大盤振る舞いを続けるという。そういう冷酷な府政を続けていながら、問題にだけ涙するという。

 全く言う事が矛盾しています。その矛盾の理由について考えてみたいというのが、今回の記事のテーマです。考えられる理由は二つあります。
 その理由のまず第一は、橋下当人は、大型開発の問題点も問題の現状も、実は本当に何も分かっていない、政治にズブのど素人だったという見立てです。私も、問題は基本的に解決したのか否か問われると、実は判断つきかねている部分はあります。しかし少なくとも、「他の施策を犠牲にしても予算の大幅拡充が必要だ」という状況でない事は確かでしょう。共産党は予算の縮小・廃止を主張していますが、仮に逆に拡充するにしても、もその他の福祉施策も共に拡充するのでなければならないというのが、人権・民主主義の立場です。そうであるならば、大型開発予算をそのまま引き継ぐ様な真似など絶対に出来ない筈です。ところがそうしない。それは何も分かっていないからではないか。
 第二は、大型開発も問題も両方の現状を、本当はとうに分かっている。分かっていて、大型開発は関西財界の、同和行政は解放同盟・自治労がスポンサーについているので、それらスポンサーからの票欲しさに続けているのではないか。しかし、その他の福祉施策は、名もなき庶民に対するバラマキ福祉にしかならないので力を入れない。庶民票なぞ、バラマキ福祉に頼らなくても、いざとなればメディアの力でいつでもかき集められる。そういう見立てです。

 私の見立てでは、どうやら第二の理由によるものではないかという気がするのですが。差別を身近に感じてきたというのも、どこまで本当か疑わしい。仮に百歩譲って、橋下知事が地区出身者だったとしても、彼の今の日頃の言動からは、差別される側の痛みは一切伝わって来ない。現に知事就任以降も、独立行政委員会である教育委員会への「命令」発言や、府職員のサービス残業を肯定するかの様な発言を、平気で繰り返している訳でしょう。それは彼がアンクル・トムだからではないか。さて、真実は如何に。
コメント (8)
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