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アフガン・イラク・北朝鮮と日本

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百聞は一見に如かず

2009年12月22日 23時45分09秒 | 貧乏人搾取の上に胡坐をかくな
・朝鮮学校で「スパイの子」 “抗議行動”を告訴へ
 京都朝鮮第一初級学校(京都市南区)で今月4日、「在日特権を許さない市民の会」(在特会)の旗を持った男性約10人が抗議行動と称して校門に押しかけ、拡声器を使って「スパイの子ども」などと騒いでいたことが18日、分かった。
 校内には近隣の朝鮮学校も含めた児童約170人がいた。学校側は、偏見や差別感情が理由の「憎悪犯罪(ヘイトクライム)」だと反発。週明けにも威力業務妨害などの容疑で京都府警に告訴する。
 集まったのは在特会関西支部メンバーら。校門前にある京都市管理の公園に学校がサッカーゴールや朝礼台などを置いていたため、在特会の桜井誠会長は「不法占拠したことへの抗議」と説明している。
 学校が撮影した映像では、数人が朝礼台を正門まで運び「門を開けろ」と要求。学校関係者が「ここは学校です」と制止すると「こんなものは学校ではない」「朝鮮学校を日本からたたき出せ」などと拡声器で叫んだ。(中日新聞)
 http://www.chunichi.co.jp/s/article/2009121801001139.html

朝鮮学校をレイシストが襲撃


 ネットでも話題になっていたこの事件ですが、誰が見ても悪いのは「在特会」です。それは上記の動画からも明らかです。「あけんか、こらっ!」「スパイの子」「キムチくさい」「日本に住まわしてやってんねんから、偉そうにせんと、大人しう隅っこ歩いとったらええねん」・・・まるで暴力団まがいの言動が、校門の外の「在特会」側から発せられています。これは学校側が撮った動画ですが、実は「在特会」も同じ場面を、自分たちの側から動画に収めて、当初は自慢げに自分たちのブログに載せていました。それが、旗色が悪くなった途端に隠蔽して、印象操作の写真とすりかえています。この一事を以ってしても、どちらの言い分が真実かは明らかです。

 しかし、その一方で、「在特会」に糾弾されている朝鮮学校の方にも、私は余り良いイメージを持っていませんでした。北朝鮮拉致や帰国事業にも加担した朝鮮総連の下部組織で、金日成・金正日への個人崇拝に偏した教育を行っている、と思っていたからです。だから、この「在特会」の主張する「公園不法占拠」という点についても、「在特会」につけ込まれるような何らかの不正取引があったのではないか、と勘ぐっていました。例えば、本来は公共施設(公民館)である大阪市内の解放会館を、解同(解放同盟)が、かつては専有的に使用していた事もありましたが、朝鮮学校もそんな形で公園を使用していたのではないか、という気持ちもありました。

 そこで、実際はどうなのかという事で、この前の定休日を使って、駆け足ですが現地を見てきました。アポも取らずに、一度現地を訪れたぐらいで、一体何が分かるとも思いましたが、それでも「百聞は一見に如かず、まず見ない事には何も分からない」と言い聞かせ、見て来る事にしました。

 「在特会」の襲撃事件現場となった、朝鮮学校とその横の公園は、京都市内の地下鉄烏丸線十条駅を出て直ぐ近くの所にありました。下記がその写真です。学校の3階建ての校舎が一棟あり、その横に猫の額ほどの空き地がありました。そして、その空き地から校門の外に出て、手前の道一本を隔てた所に、「在特会」が「学校側が不法占拠している」と言い募っている公園(勧進橋児童公園)が広がっていました。
 行ってみると、当初思っていたイメージとは違い、児童公園とは名ばかりの、ブランコなどの遊戯施設も何も無い、ただのグラウンドでした。そのグラウンドは扇形をしており、扇の根元に当たる位置には、市が設置したと思われる固定式のバックネットがあり、その左右両サイドに各々、学校所有のゴールポストと朝礼台が置かれていました。「在特会」によって外された放送用のスピーカーは、まだ再設置されていませんでした。そして、その外では高速自動車道の建設工事が既に始まっており、グラウンドの扇の外側を取り囲むように防音壁が作られていました。
(下記写真参照―左上から時計回りに、学校後門、正門、ゴールポスト、朝礼台)
 



 現地到着後、程なくして、校門の中からジャージ姿の学童が十人ほど出てきて、グラウンドでサッカーの練習をやり始めました。どうやら体育の授業か何かが始まったようです。ちょうど運良く、そこに引率の学校関係者の方が現われたので、その方から簡単に話を伺う事が出来ました。
 その方の話によると、もう大分以前から、愛護会というPTAみたいな組織が地域にあり、そこで公園の使用に際しても、住民と学校との間で話し合われてきた、という事でした。それで今まで特にトラブルが無かったのに、ここに来ていきなり民事介入暴力みたいな事をされて、子どもたちが怖がっている、と憤っていました。このブログの写真も、ちょうどその時に許可を得て撮らせてもらったものです。

 これでようやく理解出来ました。まず、校舎横の空き地だけでは、体育の授業なんてまず無理です。しかし朝鮮学校は、「在特会」が動画の中で喚いていたように、法律上は自動車教習所などと同じ各種学校扱いです。学校教育法で規定された正規の学校ではありませんので、教育予算も付きません。学校の運営は全て在日側からのカンパや寄付で賄われています。多分、最低限の広さの土地を取得して、校舎を建てるだけで精一杯だったのでしょう。それで、隣のグラウンドも使わせてくれ、という事になったのでしょう。事実、先述の高速自動車道建設工事に関する京都市会の議事録や、共産党・穀田恵二衆院議員のブログにも、それに関連する記述が見受けられます。

 これを「不法占拠」というのは、やはり無理があります。遊戯施設も無いグラウンドです。他に場所が無ければ、少年野球チームやママさんバレーボール・チームも、練習や試合で使うかも知れません。その間は、部外者は一時的に使用を制限されますが、これを以って果たして「不法占拠」とまで呼べるのかどうか。また、「在特会」は、「日本人の子どもが感電したらどうする!」と息巻いて、学校側が公園内に設置した放送用スピーカーを勝手に撤去してしまいましたが、では初詣の神社境内で営業中のテキヤの屋台は一体どうなる。これも素人工事によるものだから、「感電や火事になったらどうする!」と息巻いて、元旦から住吉大社に襲撃に及ぶのか(わら)。

 更に言えば、「在特会」のいう「在日特権」って、一体何を指すのか、という問題もあります。例えば、在日朝鮮・韓国・台湾人は、日系人などの他の在留外国人とは違い、「特定永住者」として、特別に在留資格の自動延長が認められていますが、これが果たして「特権」といえるのかどうか。

 実はこれは「特権」でも何でもないのです。これら日本の旧植民地出身者は、かつては日本国民(帝国臣民、つまり天皇の赤子)でした。但し、国民(臣民)といっても、今のパレスチナ系イスラエル人のように、二級国民として差別される存在でしかありませんでしたが。
 それが、第二次大戦の敗戦を経て、講和条約発効と引き換えに、これら旧植民地出身者は、<日本の都合で>一方的に無国籍者とされました。当時は、北朝鮮はおろか、韓国とも国交はありませんでした。つまり、単に日本国籍を剥奪されただけでなく、韓国・朝鮮籍も取得出来ない中で、無国籍者(難民)として一方的に放り出されたのです。しかし、幾らなんでもそれではあんまりだという事で、紆余曲折を経て、ようやく今の「特別永住者」にまでたどり着く事が出来ました。つまり、これらの人々は、<日本の都合で>、勝手に天皇の赤子とされ母国語を奪われたり、無国籍者にされたりした、日本による植民地統治の犠牲者なのです。
(より詳しくは、田中宏著「在日外国人・新版」岩波新書か、下記「参考資料」の中の、特に「どろの日記」を参照の事)

 そんな人々に対して、「日本に住まわしてやってんねんから、偉そうにせんと、大人しう隅っこ歩いとったらええねん」とは、よくも言えたものです。日本人とか朝鮮人とかいう以前に、人間としてどうなのかと思いますね。
 その様な歴史的経過も無視して、一方的に「特権」呼ばわりした上に、「台湾人は親日だから良いが韓国・朝鮮人は反日だからケシカラン」、NHK番組「ジャパン・デビュー」放送後は「台湾人も反日だからケシカラン」と息巻いている、どうしようもないジコチューな論理を正当化する為に、「在特会」は「特権」というロジックを弄しているだけなのです。

在日外国人―法の壁、心の溝 (岩波新書)
田中 宏
岩波書店

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 「在特会」というのは、一事が万事こんな調子なのです。とりわけ、この間、北朝鮮・拉致問題の悪い影響もあってか、相手が北朝鮮・朝鮮総連や中国、朝鮮人・韓国人・中国人とくれば、「何でも叩けば良い」との、嘆かわしい風潮が蔓延っています。
 確かに、今の北朝鮮政府・朝鮮総連は、拉致問題・帰国者問題・人権問題については、責められて当然です。中国も、チベット・ウイグルなどの少数民族問題や人権問題などについては、北朝鮮と同様の立場です。だから、私も脱北帰国者の高政美さんの裁判支援では、朝鮮総連の責任を問います。
 しかし、それに託けて、どんな無法でも通ると思ったら大間違いです。こと今回の件については、非は100%「在特会」にあるのは明らかです。朝鮮総連や朝鮮学校が悪いのでも、「どっちもどっち」でもありません。最近の「在特会」シンパは、自分たちの評判が余り芳しくないので、「どっちもどっち」と一歩引いた上で、朝鮮人の悪口を言いふらす戦術に出てきています。それを打ち破る意味でも、現地を訪れる意味は十分ありました。ただ、学校側はこの件で振り回されていますので、訪問するにしても、くれぐれも迷惑をかけるような事にはならないように、注意願います。

(参考資料)

・関西支部が在日朝鮮人に不法占拠されてきた児童公園を奪還!【最新情報/12月8日】(在特会)
 http://www.zaitokukai.com/modules/news/article.php?storyid=308
・【緊急抗議】 12・19朝鮮人の犯罪を是認する東京新聞を許さないぞ!(同上)
 http://www.zaitokukai.com/modules/news/article.php?storyid=317
・【京都】12月4日のレイシストによる朝鮮学校襲撃を許すな!(虹とモンスーン)
 http://solidarity.blog.shinobi.jp/Entry/640/
・"在日特権”叫ぶ右翼集団が朝鮮初級学校を襲う 怯え泣き出す子どもたちを前に警察は傍観したまま 保護者がメールで訴え(日刊ベリタ)
 http://www.nikkanberita.com/read.cgi?id=200912110220305
・「在特会」 「朝鮮初級学校による公園不法使用」はやっぱりデマ【編集追記あり】(どろの日記)
 http://d.hatena.ne.jp/dondoko9876/20091215/1260860772
・在特会の主張を検証する 1 【特別永住資格】編(同上)
 http://d.hatena.ne.jp/dondoko9876/20091216/1260933571
・在特会の言い分を検証する その2 【生活保護】編(同上)
 http://d.hatena.ne.jp/dondoko9876/20091217/1260987458
・在特会の言い分を検証する 【年金編】(同上)
 http://d.hatena.ne.jp/dondoko9876/20091218/1261064148
・朝鮮学校で「スパイの子」 “抗議行動”を告訴へ(同上)
 http://d.hatena.ne.jp/dondoko9876/20091219/1261196532
・在特会を圧倒! 民族差別を許すな! 京都朝鮮学校襲撃事件を問う緊急報告会(同上)
 http://d.hatena.ne.jp/dondoko9876/20091220/1261277085
・京都朝鮮学校襲撃事件報告集会 主催者からの報告(同上)
 http://d.hatena.ne.jp/dondoko9876/20091220/1261299721
・京都朝鮮第一初級学校運動場問題で関係者と話し合い。(穀田恵二HP)
 http://www.kokuta-keiji.jp/column/nisshi/1094221827.html
コメント (9)
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