この間ずっと、沖縄・普天間基地の辺野古「移設」問題が、マスコミを賑わしています。曰く「普天間基地の負担軽減策は、同じ沖縄県内の辺野古に移すしか方法がない」「その方向で既に日米間で合意しており、今更蒸し返す事は出来ない」「沖縄一地域の為に日米同盟が損なわれても良いのか!」とか。または、その裏返しとして「我々本土の人間も沖縄の苦労を共に分かち合おうじゃないか」(橋下徹)とか。「それなのに鳩山内閣は、基地問題を持ち出して米国を怒らせ、自分たちも右往左往してしまっている」とか。
実は、それら全てがウソでした。「移設」だの「負担軽減」だの「分かち合い」だのという話では全然なかったのです。それを暴露したのが、普天間基地を抱える地元・沖縄県宜野湾市の伊波市長が出した、「普天間基地のグアム移転の可能性について」という報告書です。宜野湾市のHPにも全文が公開されています。
くだんの報告書の内容は、既に他の多くのブログでも紹介され始めていますが、一言で言えば、「米国は、最初からずっと、普天間の基地機能をほぼ丸ごとグアムに移転する手はずで動いている。辺野古での新基地建設の動機は、普天間の件とは全く別の所にある。移設話はそれを隠す為の煙幕にしか過ぎない」というものです。「なごなぐ雑記」というブログに、その報告書の要旨がピックアップされています。下記がその要旨です。
(1)2006年7月には、米太平洋軍司令部は「グアム統合軍事開発計画」を策定し、同年9月にはホームページで公開している。そのなかで「海兵隊航空部隊と伴に移転してくる最大67機の回転翼機」と明記される。つまり普天間のヘリ部隊のグアム移転である。
(2)2007年7月には、グアム統合計画室とアンダーセン空軍基地(宜野湾市の抱える普天間基地の海兵隊航空戦闘部隊の受け入れ予定地)の責任者から直接説明を受け、移転予定地の視察も行っている。そのとき、伊波洋一氏は、65機から70機の航空機と1500名の海兵隊航空戦闘部隊員が沖縄からアンダーセン基地に来る予定と説明される。
(3)2008年9月15日に、国防総省が海軍長官の報告書として連邦議会下院軍事委員会に提出した、国防総省グアム軍事計画報告書がある。現在、普天間飛行場とキャンプ瑞慶覧に常時駐留している海兵隊航空関連部隊では、KC130(空中給油機=岩国への移転が決定している)部隊関連を除いて、全部隊名がそのリストで、グアムに移転する海兵航空司令部要素として挙げられている。
(4)さらに、今年11月には、グアムへの海兵隊移転の環境影響評価書ドラフトが公表される。そのなかでは、沖縄からの移転は、海兵隊ヘリ部隊だけでなく、地上戦闘部隊や迫撃砲部隊、補給部隊までグアム移転の対象になっている。
正しく、同ブログのコメント欄に「GOさん」も書かれているように、私も「グアム移転は司令部のみで、戦闘部隊は沖縄に残る・・・故に沖縄の負担軽減ではないんだ!」という観点から、普天間基地の辺野古「移設」に反対してきました。しかし、実はそうではありませんでした。まず、この事実を明らかにしておこうと思います。
では、一体何の為の、辺野古・新基地建設なのか? おそらく、在日米軍再編(自衛隊への肩代わり)を視野に入れての最新鋭基地建設でしょう。もはや超大国としては終わりつつある米国は、今後は次第に在外基地のリストラを進め、日本・韓国・NATOなどに軍事力の肩代わりを求めてくるでしょうから。アフガン・ソマリア派兵のように。そういう事も含め、今後も、この普天間基地の問題について何度か触れると思いますので、まずはその為の論点整理(叩き台)の一つとして、ここでは書いておきます。