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玉ねぎ高騰の主犯

2022年05月18日 10時52分00秒 | なにわB級グルメ探訪
 
玉ねぎの値段が高騰しています。先週も1玉198円の玉ねぎに驚かされましたが、今週はそれを上回る1袋598円の玉ねぎに出会いました。何と1袋598円ですよ。これに軽減税率でも8パーセントの消費税が加わりますから、税込みでは1袋645円もの高値になります。
 
確かに、1袋598円の玉ねぎは新玉ねぎで、サイズも大振りです。1袋5玉入りなので、1玉当たり120円弱と、先週の1玉198円よりは「お得」になりますが、それでもねえ。玉ねぎだけ買うのに600円以上も出すぐらいなら、一人暮らしの身では、もう松屋や吉野家の牛丼で外食にするほうが、はるかに安上がりです。

それにしても、玉ねぎの高いこと!確かに、玉ねぎだけが野菜ではありませんが、安い野菜の代表格だった玉ねぎが、今や高額野菜の代表格に早変わりするとは。この1袋598円の玉ねぎには、さすがにスーパーの他のお客さんも、全く見知らぬ同士なのに、互いに顔を見合わせ苦笑いしていました。
 
この玉ねぎの価格高騰については、私は最初、ウクライナ戦争の影響だと思っていました。しかし、よく考えると、ウクライナは小麦の主産地ではあっても、玉ねぎの主産地ではありません。だから、戦争の影響と言うのは、こと玉ねぎに関しては、当てはまらないと思います。

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上記のニュースによると、玉ねぎ価格高騰の理由は主に次の三つだそうです。一つは、主産地の一つである北海道が昨年夏の高温・旱魃(かんばつ)で不作に見舞われた事。二つ目に、もう一つの主産地である中国も、コロナによるロックダウンで輸出が出来なくなった事。三つ目に、今でこそ高値ですが、それまで値崩れしていた為に、玉ねぎの作付面積が減少していた事。
 
今ようやく、北海道産以外の淡路島産や佐賀県産の玉ねぎが出回り始めていますが、こちらも天候不順の影響で品薄状態だとか。次の北海道産の出荷が始まる今年8月まで、玉ねぎは高値が続きそうです。
 
そう言えば、それまでは玉ねぎは値崩れしていました。スーパーには1玉50円前後の安値で玉ねぎが陳列されていました。
 
むしろ私は、この第三の理由こそが、玉ねぎ価格高騰の真の原因ではないかと思います。何故なら、幾ら主産地の不作や輸出不能で玉ねぎが品薄になっても、政府がしっかりと食糧確保に動いておれば、ここまで高騰する事はありませんでした。
 
政府も以前はコメの食管制度などの形で、食糧確保に一定の責任を持っていました。ところが今や、その食管制度も廃止され、食料確保は完全に市場任せとなってしまいました。
 
市場がまともに機能しているなら、それでも良いでしょう。しかし現実には価格は乱高下。1玉200円もするような玉ねぎでは消費者は手が出ませんし、逆に値崩れしても、消費者はその場は助かりますが、農家がそれに懲りて玉ねぎ栽培を諦めてしまっては、安定供給する事は出来ません。

実際は「悪貨が良貨を駆逐する」。幾ら良質な商品でもコストが掛かれば高値で売れない。逆に多少、粗悪な商品でも安ければ売れる。これが市場の「現実」です。
 
この様な原理が横行する下では、大資本は資金力にモノを言わせて、幾らでも買い占めや価格操作を行う事が出来ます。逆に農家は、幾ら良い物をより安く売ろうと思っても、資金力に限りがある以上、「安かろう悪かろう」の商品には太刀打ち出来なくなります。
 
そこに地球温暖化による天候不順が加わります。スーパーに並ぶ野菜を良く見ると、例えばキャベツは長野産や岩手産など、特定産地の商品に偏っている事が分かります。これは、政府が長年に渡り、農業の大規模化や株式会社化を推進して来たからですが、その結果、特定産地が天候不順に陥れば、たちまち全国が品薄状態に陥るようになってしまいました。
 
昔は大阪も、泉州玉ねぎの大産地でした。ところが、戦後の都市化や農業衰退により、今や北海道産や中国産の玉ねぎに駆逐されつつあります。その結果、消費者は、今や玉ねぎも買えないようになってしまったのです。

確かに、コメの食管制度には、欠点も色々ありました。コメが安定供給されるはずだったのに、現実には「安かろう悪かろう」の政府米の在庫処分の場となってしまい、古古米が売れ残るようになってしまいました。

食生活の欧米化で、需要と供給のバランスが崩れてしまっているのに、政府がうまく対処出来ずにいた為に、コメの在庫がダブついてしまったのです。だったら、うまく対処すれば良いだけの話です。ダブつきを理由に、食糧確保の役割まで放棄してしまって良いはずはありません。

玉ねぎにも同じ事が言えるのではないでしょうか。少なくとも、主食やそれに準ずる食料については、政府が責任もって食料確保に努めてもらいたいです。それでこそ、本当の「経済安保」ではないでしょうか。日本の消費者は大人しいので、まだ黙っていますが、このままでは、またかつてのように、「米騒動」が勃発するかも知れませんよ。

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