円高トレンドの変化か!
赤字国債の大量発行。
その為の国家財政の莫大な累積赤字。
ついに貿易収支の赤字。
どれをとっても円安に推移しても不思議ではない事柄。
それなのに、円高が終焉しない。
日銀もドル買い介入を
覆面で行っていた。
よく使われる実態の伴わない口先介入とは正反対の覆面介入まで行っていたのである。
なのに少しの上下はあるものの円安に振れる事がなかった。
『噺家殺すにゃ刃物は要らぬ。欠伸の三つもすれば良い。』とあるが、『日本殺すにゃ刃物はいらぬ。実態にそぐわない円高にすれば良い。』である。
世界市場を相手にしている日本の工業製品などが円高で売れずに苦戦している。
輸出産業が痛手を蒙れば、輸入産業は我が世の春である。
しかし、輸出で外貨を稼がねば、輸入する製品(原油など)を買うお金がないと来ている。
その為に貿易収支が30数年ぶりに赤字になったそうである。
資本収支での大幅な黒字の為にその貿易収支の赤字を埋める事が出来たわけである。
東日本大震災とタイ国の水害被害による一時的な要因での赤字なら幸いであるが、その実態はと心配になる。
一時的なことではなく恒久的な事であるかもしれないのである。
このまま貿易収支の赤字が続く産業形態の日本になる恐れさえある。
働く場がなく、失業者が貿易黒字を叩き出す筈はないのである。
勤勉に働いてこそ、貿易黒字が計れるのである。
しかし、自動車産業は海外に出て行き、国内でのTV製造を取りやめるなど、企業は既にグローバル化している。
企業は日本に恩義も感じないし忠節を尽くす必要もない。
企業自体が存続できる最善の環境に移って行くのみである。
卵が先か鶏が先かになるが、円高に関してははっきりしている。
円高であるからして企業が海外に出のである。
企業が出て行くから円高になるのではない。
なにゆえに円高トレンドが修正されてこなかったのか。
ギリシャ危機を始めとするユーロの心配(信用不安)。
米国FRBの超低金利の向こう三年間の延長を決めて宣言した。
世界中が低金利戦争の中にあっては、日本の超低金利も埋没である。
相対的に信用不安のユーロより、USDよりマシだという相対的な価値で円が買われている。
しかし、その根底にはもう一つの原因が存在しているのである。
それは日本経済のデフレである。
円を持っているだけで、一年後には実質的に購入価値が増えるのである。
インフレは悪でありデフレは良い事であるような感覚があるが、そう単純ではない。
デフレの円を所有しているだけで、一年後に今より貨幣価値が上がるのである。
と言うことは、一年経てばより沢山な物が買えると言う事である。
ドルを所有するよりユーロを持つより安全で且つ価値が上がるから円高になってしまうのである。
日銀はハッキリと
1%のインフレ目標を宣言した。
市場も反応して一ドル76円台をうろうろしていた円が安くなり始めた。
金曜日の夕方で79台にまで円安に振れ出した。
これに抗応して株も一気に上がり始めた。
リーマンショック後、先進国においては低位で株価が回復していなかったのが日本だけである。
日本株の安値感に諸外国が日本株買いをはじめているのである。
株が上がり、適正なところまで円安が進み、日本に働く場が残る事を強く願ってやまない。