西川山岳会さんのHPに黒伏山南壁の新ルート開拓の記録が載っていたが、この記録を見て何か懐かしくなった。
1977年6月、新ルート開拓の為、中央ルンゼを登って6Pめの核心部手前から新ルートに入り、左に斜上してカンテの左斜面を直上して帯状ハングに達した。左にトラバースしてハングをA1で乗り越え、1ビバークの後は上部のスラブを経て頂上のピナクルに立った。
このピッチは傾斜のある壁だがフリクションは抜群で、その当時のビブラム登山靴でも一気に登り切ることが出来た。壁には横に摂理が走り、途中につつじに花が咲いていた記憶がある。当時はビンボー学生でハーケンは殆ど回収したが、帯状ハングの基部に古い鉄製の錆びたカラビナが残置され、何処を辿ったのか先人の苦闘の跡が残されていた。
もし今でも現役時代ののモチベーションが有り、そして実力が有ればあったならば、私もこの新ルート「天の川」の再登を目指したでしょう。まあ、上部のピッチはかなり手強そうなので手に負えないかもしれないが・・・。頂上まで抜ける価値ある数少ないルートとして、今後多くのクライマーが訪れる事でしょう。
このブッシュに覆われた黒伏山に通い詰めた頃には、アメリカがベトナムで使用した枯葉剤がよく話題にのぼってっていたが、秋の南壁はスッキリして実に快適。焼石岳の猿岩はアプローチルートがダム建設で水没間近かとなってしまい、残った黒伏山は東北では貴重な本チャンルートと言えるでしょう。
参考のルート図
http://f58.aaa.livedoor.jp/~yamadori/kurobuse.html