中々時間も取れず加えて左足ふくらはぎの痛みが取れない日々だったが、ようやくタイミングが訪れて今回は湯殿山温泉から装束場経由で月山を目指した。
積雪期には何度も訪れている月山だが無積雪期は初めて。当初は毎年今頃訪れている飯豊連峰のはずだが、夕方まで仙台に戻るとなると行き先は限られる。結局、月山では登りごたえのありそうな、湯殿山神社から月山へと落ち着く。
湯殿山神社手前の湯殿山温泉の有料道路のゲートは閉鎖され、8:30AMまで待っているヒマもないので歩き出し、有料道路に沿った湯殿山神社参道を進んでゆく。丁寧に刈り払いされた道は遊歩道の様で、落ち葉でふかふかの道は地下足袋が良く似合う。
人気のない湯殿山神社を通過するとザンゲ坂の急登となるが、まるで石段を歩く様な道は歩きやすく、踏まれて丸くすり減った石は深い歴史を感じさせる。
装束場で初めて登山者を見てここで一息つき、すぐに金姥へと続く緩やかな登山道を進んでゆく。紅葉は今が最盛期の様子で、湯殿山を振り返ってみると真っ赤な楓や黄色い紅葉がまばゆく、主役のナナカマドがアクセントになって素晴らしい光景が広がる。
しかし、金姥に到着すると雰囲気は一変する。登山道には何処かで見たような人々が列をなし、次から次へと登山者が上がってくる。中高年はもちろん、小学生を連れた家族連れや若いカップル、ツアー客と思える元気な団体さんなど、日頃の山行では絶対遭遇しない異次元の光景だった。
夏の道は石畳と階段が見事に整備され、虎ロープで規制された国道をただ上を目指す。仕方がないけれども追い越しもし難いのが困る。天候は前線が南下して薄曇りの空で、せっかく持ち込んだカメラも今一つさえない。
山頂付近にはこの前降った初雪が残り、次第にガスに覆われて風は強まってすでに冬の兆しが伺え、寒さで登山者は雨具を着込んで休んでいた。一人だけ缶ビールを飲んでいると「寒くないですか?」と声を掛けられた。地下旅姿ではなおさら場違いの雰囲気の様で、主役は中高年に混じった「山ガール様御一行」の様子。
どこかのアウトドアショップのマネキンがそのまま歩いている様で、意外と若いカップルが多くてその彼氏も実に決まっている。中には後ろ山ガールで表は元祖・・・でドキッとする事もあるが。
キツイ・汚い・危険の3Kを代表する山登りも、今やファッション感覚最優先の世の中となる。若い人が増えてくるのは大歓迎で、明るく賑やかな山も悪くはない。仕掛けた出版社やメーカーは潤ったでしょうが、この流れが一過性のブームで終わらないことを願います。
湯殿山温泉6:57~装束場8:59~月山10:51~装束場12:43~湯殿山温泉2:31