新・本と映像の森 133 安冨歩・本條精一郎『ハラスメントは連鎖する』光文社新書、2007年、<20100424を再録>
「2010年04月24日 05時41分08秒 | 本と映像の森
本と映像の森31 安冨歩さん・本條精一郎さん著『ハラスメントは連鎖する』光文社新書299、2007年4月20日初版第1刷、331ページ、定価840円+消費税
この本を書店で(たしか谷島屋三方原店で)見つけて、あっ!と思って,買ったのは2008年の初夏の頃でした。
実は、自分が所属する組織のなかで、自分以外のAさんが、自分以外のBさんに仕掛けたハラスメント事件で、どうしたらいいか、このことの原因や本質は何なのか、悩んでいて、家に帰って、一晩で読みました。
(20180517補足 その後、今にいたるまで何十回も読み返しました。全面的に正しい本はありませんが、これは読むべき本です。
教育一般についての規定は賛成しません。)
この本は、みなさんの回りにもいっぱいあると思いますが、パワハラ・セクハラ・モラルハラスメントなど「ハラスメント」についての基本的テキストであると思います。
なぜかというと、ハラスメントについての基本的な構造とそれが起きる原因を解明しているからです。(もちろん、ぼくがこの本を読んでそう思ったと言うことです。)
同時に、この本は、人間とはなにか、人格・魂とは何か、について、基本的な解明をしているように思います。
というより、人間とは何かについて基本的解明ができたから、ハラスメントについても解明ができたというこでしょう。
私の理解した範囲でまとめると、ハラスメントとは、
① Aという個人が他人に、「これをしろ」あるいは「これをするな」と押しつけ・強要・強制をすること。
② ①のことは、AがBに、教育として・助言として・先輩として・親としておこなう善意の行為だから、拒否するな、拒否するならAがBを罰するというさらなる押しつけ。
③ ①や②を拒否するBに、受け入れるまで①②を押しつける強制、さらに暴力(言論も含め)をふるうこと。
つまり、たんなるいじめ・暴力ではなくて、「これはおまえを愛するがゆえの」とか「上司としての指導・教育だ」とか、入ってくるんですね。
これは、たとえば学校の同じクラスの対等平等の生徒同士では、ぜったい理由になりません。「指導」とか「教育」とか言っても。
安冨さん・本條さんが解明した問題は、かなり多岐にわたるので、今後は「人間と心と集団」のシリーズで考えていきたいと思います。
集団という場合、そこには、すべての集団が入りますので(保守的集団・自治会的集団・NPO的集団・民主的集団)、思考はかなり多岐にわたります。
でも、いつも,普遍的でありたいと思います。」
20180517補足2、「星の王子さま」へのバラやキツネの仕打ちがハラスメントそのものであるという指摘は、みなさん、どう思いますが。ボクはそのとおりと思います。
ヒットラーやナチスの話や、靖国神社や植民地の話、ガンジーのこと、『論語』など、新鮮だと思います。