未来技術の光と影。
SIYOU’s Chronicle




鉄道テロ対策で駅に顔認証システム…国交省が実験開始
http://www.yomiuri.co.jp/atmoney/news/20051022it11.htm

国土交通省と財団法人運輸政策研究機構は、ロンドンの地下鉄爆破テロを踏まえ、鉄道を標的したテロを防止するため、駅の監視カメラの映像から特定の人物を識別する「顔認証システム」の実証実験を始めた。国交省が検討している鉄道テロ対策の柱となるもので、来年4月をめどに、東京メトロ霞ヶ関駅に監視カメラを設置し、実用化に向けた実験を本格的に始める。
システムは、NTTコミュニケーションズなどが開発した。改札口などに設置したカメラの映像と、データベースに登録したテロリストや指名手配犯らの顔写真と照会し、不審人物を割り出す。識別に要する時間は約1秒で、帽子やカツラで変装しても判別できるという。

実証実験を始めたということは、実験室レベルでは、かなりの実用段階に入っているものと、思われる。確かに、携帯電話の本人確認ですら、『顔認証』の技術が実用化されている時代であるから、その程度のことで、驚いていてはいけないのかもしれない。

では実際に、監視対象リストにマッチした人物が、大きな荷物を持って改札を通ったことが検知された場合に、どうするべきか。それから慌てて110番通報しても、警官が到着するころには、爆弾は既に何駅も離れた満員の電車の中に、置き去りにされているに違いない。

不審人物を発見した時点で全ての電車を止め、身柄の拘束を優先するような運用の徹底、そして法的な問題の解決が果たしてできるのであろうか。導入が決まったとしても、巨大な経費をかけて「泥棒ネコが魚を咥えて逃げて行くのを黙って見ている」だけのシステムを構築しても、全く意味がない。実証実験を始めたからには、運用面での様々な問題についても、早急な、そして意義ある検討を進めて欲しい。技術の進歩は、恐ろしく速いのだ。


「課長、ちょっとこの人物見てくれますか。」
「あぁ、いつもの、プライバシー擁護活動家だろ?」
「いや、今日のは、新顔ですね。」
「新顔って?」
「マスクはいつも同じですが、今までは3人でローテーション組んでたんですよ。」
「そうなの?どうして解ったんだ。」
「先月アップグレードした時に、『動作特徴』も抽出するようにしてみたんです。」
「単に、疲れてるとか、飲んだ帰りだとかじゃなくて?」
「いや、それはそれで別に、『体調判定』もしてくれますから。」
「凄いね。いつのまに、そんなに進歩したの?」
「やはり、フィールドテストの賜物ですよ。実験室でやってるだけでは、この進歩はあり得ません。」
「テロリストの可能性があるのか?」
「いや、大丈夫です。既に、身元も判明しています。」
「いくらなんでも、そんなことまでは、解からないだろ。」
「対象者が通過した時の、定期券の情報からです。」
「なるほどね。テロリストが、マスクと一緒に、定期券も盗んだ可能性はないのか。」
「該当の定期券が使われた時の画像を1ヶ月前から検索してみましたが、皆、同一人物との判定です。」
「じゃぁ、特に害はなさそうだな。通報するまでもないだろ。」
「対象者を中心に、無条件クロスマッチをかけた所、毎週木曜の夕方に、同一人物との同時刻通過の傾向が検出されました。」
「偶然の可能性は?」
「降車時ならともかく、乗車時にこの確立はあり得ません。ここから乗って、いつもとは別の駅で一緒に降りてます。ただ、その後はマッチしてませんので、帰りは別々のようですね。」
「マスクしてない時の、画像はあるのか?」
「この女性です。」
「・・・これなら、心配いらないだろう。」
「同伴者の方の帰りのデータが見つかりました。『体調判定』によると、一戦交えた後のようですね。今、画像も呼び出しています・・・。何するんですかっ!?」
「君ね、それはプライバシーの侵害に当るだろう。」
「なに急に、良い子ぶってるんですか・・・。あーそーですね。そーなんですか。」
「なんか、勝手にヘンなこと考えてないか。」
「いや、さっき、同伴者の今朝の『服装特徴』が表示されてたんですが、恐らく偶然でしょうね。」
「そうとも。今時『ピカチュウの柄のネクタイ』なんか、沢山あるだろ。」


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