未来技術の光と影。
SIYOU’s Chronicle




驚異の「鉄人」幼虫、雑誌付録に 学研が採用検討
http://www.asahi.com/science/news/TKY200510130107.html

零下200度の低温に耐え、濃度100%のアルコールも、沸騰したお湯の熱さもへっちゃら。
驚くべき生命力をもつアフリカ産の小さな蚊の幼虫が、科学教材として来年にも登場しそうだ。


「これって、例の不死身の幼虫のセットですか?」
「はい?あー、たぶん、お探しの商品だと思われます。」
「たぶん?」
「昨年話題になった『鉄人』幼虫のことですよね?」
「ええ。」
「ならば、それに間違いございません。ただ、ちょっと仕様が変更になりましたが。」
「仕様って?」
「最初に報道された時は、『アフリカ中部に生息する蚊の仲間、ネムリユスリカの幼虫』という設定だったんですが、放射線照射による不妊化処理の安全性を100%立証できなかったために、急遽『アカイエカ』に変更になりました。」
「『アカイエカ』って、日本の在来種の?」
「ええ。」
「それって、ただの『ボウフラ』ってことですか?」
「いえ、『アカイエカ』の場合、幼虫状態での流通が困難であるため、卵での提供となりました。」
「『零下200度の低温』にも耐えられるんでしょうか?」
「失礼ですが、ご自宅で『零下200度の低温』の環境を再現できますでしょうか?」
「では、『沸騰したお湯の熱さもへっちゃら。』なんですか?」
「それは、多分、死にますね。」
「多分ですか?」
「『熱いお茶』程度で、確実に死ぬでしょうね。」
「そうですか・・・。『付属の顕微鏡』ってのは、どんな物が付いてるんでしょう?」
「顕微鏡は付いておりません。」
「たしか『水を加え、付属の顕微鏡で生き返る様子を観察する。』という触れ込みでしたよね。」
「『アカイエカ』の場合、孵化させるのに、もう少しデリケートな環境の構築が必要です。飼育容器や温度計、水道水に含まれる塩素の中和剤などの付属品、そして冬眠状態を持続させるための保冷剤と断熱包装が必要になったため、顕微鏡の付属は中止になりました。」
「なんだか、結構、面倒くさそうですね。」
「えぇ。ただ、当初8匹の予定が、80匹分に大幅増量されており、10回までのトライアルができるように、工夫されています。」
「たかが『ボウフラ』を発生させるのに、そんなに大変なんですか。」
「ええ。でもちゃんと蚊になって飛び立つ時の感動は、ひとしおですよ。それこそ『生命の驚異を感じるのに最適』なキットにし上がっております。」
「そんなもんなんでしょうかね。」
「生命なんか、水さえあれば、ボウフラみたいに簡単に湧いてくるとういう先入観を打ち砕かれます。『ぜひ実物を見て驚いて』頂きたいと思います。」
「もう、充分に驚きましたよ。我々が子供のころには『都会ではデパートでカブト虫を売っている。』と騒がれたものですが、最近は『デパートで「ボウフラ」を売っている』んですね。」
「・・・ですから、卵ですってば。」


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