ユーザーの知らぬ間に「追跡コード」も印刷
http://hotwired.goo.ne.jp/news/culture/story/20051020201.html
米国の非営利団体、電子フロンティア財団(EFF)は17日(米国時間)、米ゼロックス社製のプリンターが印刷する“追跡コード”の解読に成功したと発表した。紙幣偽造などを防ぐためのコードで、同社は政府機関以外には解読できないと説明していた。
その後、米財務省秘密検察局(シークレット・サービス)が、このドットが犯罪に使われたプリンターを特定するための追跡コードであることを認めた。
前回に続き、私が違和感を覚える、また別の人々がいる。ことあるごとに、「プライバシーの侵害」を訴えかける人々だ。今回の場合、コピーされた印刷物に『追跡コード』が隠されており、それを調べることにより、コピーの作成者の身元を識別することが可能だ。というものだ。
犯罪に使用された場合に、この技術が捜査に利用されることに異を唱えるものは、少ないと思う。問題にされるのは、個人の私的文書が、本人の意図しない間に外部に漏れ、さらにこの技術の解読によって、身元が判明してしまうようなケースだ。
ちょっと考えてみたが、日常的なレベルでは、具体的な例が思い浮かばない。
一方、プライバシー擁護派の主張に良く見られるものに、「政府への抗議などを行った者の身元が調べられ、不当な捜査や監視の対象とされるような、監視国家誕生への危惧」が上げられる。
違和感を覚える点は、いくつかある。現代の政治家や国家公務員の気質からして、そのような国家運営が可能だとは思えないし、必要性も感じられない。「いや、最初が肝心なんだ。」と言われそうだが、正直、ちょっと心配し過ぎなのでは?と、思ってしまう。
また、ワイドショーなどによる、「犯罪被害者」への興味本位からの過剰な取材、そして、そのような報道が、高視聴率を取れるという現実。「プライバシーが尊重される社会」を作るためには、もっと他にしなければならないことが沢山あるのでは?と、思ってしまう。
そして最後に、犯罪捜査の役に立つのなら、コピー機に追跡コードを入れるぐらい、一般の人々はなんとも思わないのでは?ということだ。私もプライバシーを守ることは大事だと思う。だが、1枚の脅迫状の出所を追及するのに、100人の捜査員が何日も費やす作業を、たった一人の技官がもっと効率的に、もっと効果的に行えるのであれば、余ったパワーは、もっと有意義に使えるだろう。
そのためであれば、コピー機に『追跡コード』が付くくらのことは、充分に我慢ができる。
「どうだ?」
「ダメですね。『機体製造番号』が改竄されてます。」
「そなんことが出来るのかね。」
「かなり難しいですが、不可能ではないですね。照合して見たんですが、わざわざこのビルの何処かに設置されている番号に変更されてます。当てにはなりませんが、昨夜の2時17分48秒です。」
「スタートボタンに仕込まれてる、指紋検出器のデータは?」
「棒状のもので押したらしく、取れていません。」
「打つ手なしか。」
「最新のタイプでしたら、コピーボタンが押される直前の1分間の外部音を記録して、コード化する技術も付いています。やってみましょう。・・・音楽がうるさ過ぎて、背景音の抽出は不可能ですね。」
「『ブラックアイドピース』だな。」
「そんなもん、良く知ってますね。この手書きの部分からは、何か解らなかったんですか?」
「こんなヘタクソな字で、『バカ』とか書いてあるだけじゃ、何も解らんだろ。」
「まだ、調べてないんですか?指紋とかは、とっくに調べたんでしょうね。」
「いや、さっき部長に頼まれたばかりで、お前が最初だよ。」
「しかし、重大な犯罪に絡んでいるようにも見えませんけど、何なんです?」
「部長の椅子に貼ってあったらしいよ。」
「じゃぁ、誰かのイタズラでしょ。ってことは、改竄されてるわけじゃなくて、所内のコピー機で取ったんですよ。そーいや、今朝、ウチのコピー機の前に、踏み台が置いてあったから、それなんじゃないんですか?課長、昨夜、徹夜されてましたよね。何か気付きませんでした?」
「いや、実は酔っ払って、寝に来たみたいで、昨夜のことは、良く覚えてないんだよ。」
「ここなんですれど、被写体の付け根の部分に、キズがありますよね。課長、ちょっとパンツ脱いでみてくれますか?」
「そりゃ、できないね。」
「なぜです。ご自身にやましいところがなければ、問題ないでしょう?」
「この場合、『国家の危機がプライバシーに優先するケース』とは言えないからな。」
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