風のささやき 俳句のblog

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半月 【詩】

2023年09月28日 | 
「半月」

黒猫が睨むような上限の月に
射貫かれて立ち止まる
買い物帰りのレジ袋を持った僕
雲一つない秋の空に浮かんだ
半部閉じた淡黄の瞳

いつの間にか夜の空は
黒猫の大きな胴体のように
艶のある毛並の柔らかさで
僕を包む込む

涼しい風だ、それは黒猫の吐いた、眠たい吐息
もしかすると黒猫は、ただ眠たいだけの目
重くなって黒い闇の中に、やがて閉じようとしているのかも知れない

―すべてが闇にやがて眠る・・・・・

家で待っている、子供たちのことを
ギュッと胸の中で、何かを捕まれるように思い出す
君たちの間で、体横たえて、僕も眠りたい

眠たい黒猫の目を真似て、瞼を重くして
眠りと起きている所の境目も分からずに眠りについて

大きな瞳にじっと見つめられる当惑と
けれど、いつでも、人の吐息を傍らに感じていたい気持ち
寂しさの矛盾、秋の夜だ


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