「子供の笑顔と」
夜、いつまでも寝ない子供と
部屋を暗くして、漫画を読んでいる
時々、思い出しように
早く寝ろと言うのだが
子供は、聞かぬふりをしている
明日は休みだからと
少し大目に見ているのだが
夜更かしの何が、楽しいのだろう
僕の方が先に眠くなり
枕もとの灯りを、消したくなって
真剣に本を読む、横顔にちょっかいを出す
ほっぺたを突っついてみたり
耳たぶを揺らしてみたり
鼻をつまんでみたり
やられるたびに、止めろよと
ニヤニヤと怒る子供だが
僕の執拗な嫌がらせに、本を諦めたのか
世間話をしようと言いだした
(世間話? 面白い言葉を覚えたものだ)
それはタピオカミルクティーの話
兄と違って、一番好きなミルクティーは
近くのメロンパン屋さんのタピオカミルクティーだそうで
誕生日に兄たちと、そのメロンパン屋さんに買い物に行ったら
誕生日と聞いて、タピオカを沢山入れてくれて
お菓子ももらったのだという
(初めて聞いた話。誕生日に子供たちだけでそんなことをしていたのか
僕の知らないところでも、沢山楽しい思い出を作っているのだね
当たり前のことだけれど
子供のことは何でも知っている
気分でいたので、少し驚く)
それにチョコレートが入っているのが良いのだとか
(きっとそのお店の人の親切な気持ちも甘さに加わって)
それは凄い、美味しそうと僕が言うと
子供が見せた嬉しそうな笑顔
暗闇の中で、そこだけがとても明るく感じられた
子供の顔に笑顔が浮かび、それからまた何か
世間話をしようと、自分の中に少し潜る顔をして、下を向いて
その一瞬毎に変わる表情がとても
愛おしく思えた
(その割に、僕は君に、何をしてあげられるのだろうね)
ずっと変わらない幸せを、人は望んだりもするけれど
きっと、こんな移ろいゆく表情の柔らかさ
それと供に胸を流れる愛しさは
永遠には、切り出せない
夜も更けていく、この先の世間話はまた明日にと
まだまだいくらでも話そうとする
子供に布団をかけて、眠らせる
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