「子守歌」
眠らない赤子は、何をむずかっているのだろう
まだ遊び足りないから、甘えられなかったから
本を読んでほしかったの、何か甘いものを口にしたいのかな
おやすみ、それらの色々を眠らせる
君の大好きな人の歌う
子守歌の調べを聞きながら
大人の忘れた、健やかな眠りの中へ
君の、真綿のように柔らかな
夢に触れてみたい
それは、どんな味がするのだろう
まるで、綿菓子のくちどけ
口一杯に広がる甘さ
もう、味わうことは
きっと叶わない
混じりけのない、頬の上の綺麗な涙
すっかりと、乾かして
微笑みながら、赤子は
小さな布団の中で、やがて
健やかな寝息を立てる
飛び切りのご褒美のような
その寝顔
明日も明後日もその先も
君に楽しい日々が続きますようにと
子守歌の歌い手の切なる願い事
その頭を撫ぜて、また家の残った雑務
片付けようと立ち上がり
おばあちゃんが、僕にも
子守歌を、歌ってくれた
暗闇に目をつむり
耳を済ませれば
聞こえてくるようなその声
耳の奥に隠された記憶
僕を寝かしつけようと
子守歌を歌ってくれた、優しい人たちの
その歌声、眼差しに守られて
僕はまだ深い眠りにつけるのかもしれない
心は、いまでも、子守歌に眠りたくている
赤子よ、君も素直に守られて
真っすぐに大きくなれ
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