風のささやき 俳句のblog

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向日葵畑に 【詩】

2021年08月05日 | 

「向日葵畑に」

強すぎる太陽が
すべてがおし黙らせる
向日葵畑の午後

太陽が凝視する永遠の真昼に
長く身をさらし
張りつめるほどに
強くはない僕は
熱中症のような火照りに
眠ってしまいたくなる

身動きもとれずに
地上のものは焼かれている
風も熱をはらんでいる
焦げた草の匂いが
鼻孔をくすぐる

かき回される遠い記憶
大輪の向日葵に囲まれて
こちらに手を振る人の姿
その場所を教える
その声がどうしても聞き取れない

向日葵畑を縫う白い砂利の道は
なだらかな丘の頂へと続き
そこで空への道を失う
そこにあなたはいない

額から汗は流れ
疲れた足をさすり
見上げれば鳥が
自由に横切る空がある

その青い調べを感じながら
風をつかみどこへでもゆける
自由な翼が目の中に
キラキラと痛む

閉ざされた感覚を
その羽ばたきにくくりつけて
空いっぱいに広がりたかった


蝉の声じっと聞き入る子は重く新しき知恵染み込ませおり 【短歌】

2021年08月04日 | 短歌
公園で子供を遊ばせていたときのこと
木が生い茂って遊具の上に日陰を作り
たくさんの蝉も鳴いています

僕は駄々をこねて騒いでいた子供を抱き上げ
気をそらせるために
ほら蝉が鳴いているよと耳元に話かけました

すると子供は急に静かになって
蝉の声にじっと聞き入っていました
その真剣な眼差しを僕は覗き込んでいたのですが

また一つ新しいものを
自分の中に取り込もうとしているようです

その分また子供の体が重くなったように感じて
僕は腕に力を込めました