模様の美しさは紋様の見事さから感じられるものだが、筆で書いた文字が美しく見えるのには、何が必要だろうか。
筆力、筆勢、筆精、筆鋒という言葉はあっても、筆様はないだろうと思っていたが、MS IME2010 は筆様をスイと出してきた。不思議だ。
『言葉は使われたときに誕生する』
そうだ、これはいける。
「誕生という言葉はいつ生まれたのですか」の態の、ふざけているのか、ただ聞いてみて勉強しているつもりになりたいのかわからないような質問への明答が生まれた。
駅にきれいな楷書のポスターが貼ってある。
一字一字じっと見ていると、どこかに破たんがある。
だがそこを整えた結果、全体が美しくなるかどうかはわからない。
あまりにも整頓を極めた顔には、底意地を疑わせるような何かがあるように、筆様も整い過ぎては壊れることがあるだろう。
しかし、筆というものは、使いもせず書きもせずにどうして数が増えていくのだろうか。