その昔「ギョギョッ」という言葉がはやった時期がある。
人びとが何か驚きを望んでいた時代だった。
いま、人は驚きよりも騒ぎを求める。
その騒ぎも、ただ大声を出してわめき散らすだけ。
カラ騒ぎとも違う。カラさえない、音だけの純粋雑音。
それに多少の動作を加えてギャグと名付け、執拗に繰り返される。
見に集まった人たちは、笑いに似た音を合奏する。
あれは笑いではない。面白くもないのに笑っている真似をする、偽笑。
N町大劇場の騒ぎと、音だけであることが共通点。
驚きを求めない人間の集団は、やがて衰退し、国は溶けていく。