縦割り行政、横の連携、縦系列、横断的調査など、社会にはタテヨコが走り回っている。
タテヨコという言葉には、ふたとおりの使いみちがある。
ひとつは組織の見方、もうひとつはものの寸法である。
寸法の話を持ち出したのは、海苔が真四角でなく、タテ19センチ、ヨコ21センチという基準寸法が決められていると聞いたからである。
その寸法が、ちり紙の大きさからきたと言ってしまうと印象を損ねるので、浅草和紙と伝統色を添えて呼んだ心憎い説明が多いが、いまのティシュの基準寸法19.7センチ×22.9センチは、ほぼこれに近い。
手本があったからということ以外に、タテヨコ同じにしなかったのには何かわけがあるのか。
同じにしておけば、揃えるのにも簡単ではないかとも思うのだが。
海苔にも漉くときにできる目の向きがあって、それを間違えると歯切れの悪い巻き寿司ができてしまうのかとも考えが、中身の多少、つまり出来上がりの太さによってどちらの向きでも使うと聞いては、この浅知恵も引っ込ませなければならない。
いまだにわからないのは、社員食堂の昼食に出てきた、ひと口にタテに頬張ればのどにつかえそうで、ヨコに噛み切ろうとすれば海苔が粘り強く抵抗した、あの海苔巻きの作り方である。