図書館に本を取替えに行った。
一度の貸し出しが3冊までなので、3冊返してついでに3冊借りてくる。
借りる本を探してカウンターに持って行き、先に借りた本を返す手続きをしてから次の本を借りる。
この普通の順序が、その日は逆になった。
借りる本が少し重かったので、先にカウンターに載せた。
受け付けてくれたおばさんが、バーコードリーダーを当てながら「あれ?」と言う。
「そうそう返すのがあったんだ」と借りていた本を取り出す。
「返すほうを先に出してください」そんなことはわかっているが「はい」
借りた本を手提げ袋に入れていると、「返す本を先にそこに置けばいいのよ。下げて持っていると重いでしょ」「はい、いつもそうしているんですが、傘を持っていたので」
なぜ返す本を先に出しそこなったのか、手提げ袋、傘、借りる本3冊、この6個の持ちもののうち、早く手から離したかったのが借りる本だったのだ。
「こんどから順番間違えないように」「はい、お手数をかけました、ありがとう」
さて、あの応答はおばさんの気分を鎮める効果があったのだろうか。
「はい」ばかりでは歯ごたえがなかっただろう。
少しは言い返しがあって、もうちょっとガスを噴出したかったのではないか。
そのあと二度ばかり行ったが、入念夫人には会えなかった、やれやれ。