日本道路交通情報センターには、放送で言ってはならない禁句があるそうです。
それは「空いています」という言い方です。
それを聞くとそちらに車がワッと押し寄せて、放送がたちまちウソになってしまいます。
そのときには空いていたので失言でも虚言でもなかったのですが、放送の結果が次の状態を変えてしまって、言ったことがそのとおりでなくなるおそれが少しでもあれば、それは禁句なのでしょう。
言葉は伝わったそのときから、そのあとの人の心を動かします。
心の動きは、それからの一生をつくっていきますから、相手の人の生き方にかかわるようなことは言ってはならないことだと思います。このことは余命の長短には関係ありません。
「死」という言葉は、自分のこと以外には禁句にしておいたほうがよいでしょう。
それを話の種にして、問答を繰り返すのはよくないことです。
元気付けのためなどという言い分は、身勝手なことでしかありません。
たびたび聞けば軽く受け流せるようになる言葉と、そうでない言葉は、一人ひとり違います。
取り戻しのきかないそれからの一生のことは、自分に向かっては自業自得ですが、自分以外の人のそういうことは、軽々しく口にしてはならないのです。
子どもがメール文で使う「死ね」という軽率語がありますが、それだけは言ってはならないと止めさせましょう。