一茶の蠅の句で、手を「すり」なのか、「する」なのか、こういうことも、いまはその気になればものの5分もかからずに確かめることができます。
「一茶の俳句データベース詳細表示」というサイトがあって教えてもらえました。
⇒ http://jump.cx/issa
元の句は、
やれ打な蠅が手をすり足をする
でした。
手を「すり」で、「する」ではなかったのです。
俗世の暗誦では、「する」「する」と重なったほうが言いやすい、それだけのことだったのでしょう。
「すり」「する」でも「する」「する」でも、句から詠みとれる情景は変わりません。
「打つ」も仮名で送らずに「打」でした。
もう一つ「蠅が」を「蠅は」としてある文献もあるようです。
正確を期せば誤った読み方書き方でも、けっこう大手を振ってゆきわたっている、日本語の鷹揚さがこの蠅の句からにじみ出ているようにも思います。
蠅が揉み手をしながら言っています。
「まあ、そう細かいことを気にして、やかましいことを言いなさんな」