一度目の忘年会で見つかった一流と三流の違いは、もう一つありました。
部屋に入ったときテーブルにプレースマットが置かれています。
昼食会なので和英語のランチョンマットと呼んでもよさそうですが、紙の和式のものは何と呼ぶのでしょうか。
敷き紙では陳腐かと思っていたら、懐石まっとという妙名もありました。
懐石用ですから「マット」でなく「まっと」なのです。
食事が終わって片づけにかかり、斜め前の席の敷き紙が折りたたまれようとしたとき、それまで気にとめていなかった紙の隅に描かれている椿の絵がふと目に留まりました。
「あ、それちょうだい」と言って畳んでポケットに入れていると、隣の友人が俺も欲しかったと言います。
「この人も欲しがっているからもう一枚お願い」というと、「あ、みな捨ててしまいまったところです」「じゃあ、あきらめだね」友人のがっかり顔には「ちょっと遅かったなあ」でひとくぎり、また雑談が続きます。
しばらくすると、昨日の話で固形燃料を持って来てくれた人が「これをどうぞ」と、敷き紙の筒型に巻いたものを持って現れました。
「お客様もこちらをどうぞ」と二本目が差し出されます。
「さっきもらったから」「さっきのは汚れていましたから」「そう、ありがとう」
一流三流談義の相手の友人も、紙の筒を持って、にこにこしながら別れました。
その店はどこか、あえて宣伝はしませんが、ヒントだけ残しましょう。
横浜馬車道、A会館隣の地下にあります。