肉と魚、比べてみると、種類が少ないのにどうしても肉のほうが食べる回数が多くなります。
肉の種類ですぐに思いつくのは3種類ぐらいですが、魚なら10本の指がすぐに折り返ります。
種類の少ないほうが選びやすいということもあるかもしれませんが、食べるのに手間がかかるというのがいちばんの理由でしょう。
魚は、骨のややこしい食べにくいものほど美味いのが、憎いところです。
人間の舌は実に敏感にできていて、どんな小さな骨でも、身と区別して探り出します。
ところが、敏感なことと丈夫なことは両立しません。
舌が痛くなってその原因をふり返ると、魚の骨をせせった後だったことがしばしばあります。
エージングの波を魚が連れてきたような、くやしい、そしてはかない気分を招きます。
だからと言って、舌に傷がつくのを恐れていては魚は食べられません。
刺身や寿司ならいいだろう、いいえ、生だけでは魚の本当のうまさはわからないのです。