どんな場合にも、おとなしく話を合わせていれば相手を傷つけないという盲信があります。
どんな言いがかりをつけられても、じっとこらえ、謝れと言われればすぐにごめんなさいと言う、いじめられている子供を主題にしたドラマによく現れる場面です。
いじめているほうは、相手のその態度に、いっそういらいらを募らせるか、さらにつけあがるかで、いじめのおさまる気配は見えてきません。
いじめというよりも、その相対関係に甘えているとも言えます。
外交の場でも似たようなことがしばしば見られます。
木材に何かを固定するための「木ねじ」にも、ねじのピッチが細かく、ゆっくりねじ込んでいくものと、ごく粗いピッチで、ぐいぐいねじ込んでいくスリムビスがあります。
相手の木材によっては、ゆっくり静かにねじ込んでいくと、途中でパチっと割れてしまうことがあります。
こういう場合にも、スリムビスでぐいぐいねじれば、木材は割れずにピタッとおさまります。
粗いねじが相手を傷めないということです。
どんな相手にもゆっくり静かがよいという、これも妄信のようです。