黒は人の目を引く色です。
黒は明度からいえば、いちばん低い色なのに、目立つのです。
儀礼のときに一斉に着る黒い服は、儀礼であることを目立たせる役割を持っています。
黒塗りは目立たせようとする行為です。
むかし強要された教科書の黒塗りは、見せないためではなく、読み取りながら塗らせることで、学童の意識に忌避の念を塗り込める効果を狙ったものと思います。
黒幕と呼べば、多くの人が知りたがります。
知らせるふりをしながらはっきりさせずにおけば、知りたがり賃をそこで稼げるという、こざかしい商売がそこに成立します。
ブラックだというと、なぜか人が寄ってくる、黒は不思議な色です。
いや、色ではないのかもしれません。