田んぼに水が張られて。
夜の帳が降り始めたとき。
その風物詩がはじまる。
梅雨に霧むる前の。
苗のそよぎの薫風の後。
無姿有声の幕が開く。
前途有為の序詞。
水陸両用の結節点の謳歌。
その調べを荘厳と言わずにおれようか。
役者は揃った。
なんと鳴く?
ゲーコ。ゲーコ。ゲーコ。
・・・・。
おたまじゃくしは蛙の子。
兄弟の見分けは付かないが、子供と大人の区別は確実だ。
人には真似のできない芸当。突然変異。変態性高気圧。
ホレ見てみい。聞いてみい。
芸子稽古。ゲーコゲーコとボクには聞こえた。
帰り道の啓発。
かえるが鳴いている。