助け合いやチームワークについて、めくらとつんぼといざりを題材にした古典の教えがある。
今様で言えば、目が見えない、耳が聞こえない、歩くことが出来ない、ハンデを背負った三人の物語である。
その話のすじはこうだ。
三人が一緒にいるときのこと。
その長屋から、火が出て家事になった。
「火事だ火事だぁ!」と近隣のものが口々に叫ぶ。聞こえるのはめくらといざりだ。
しかし、めくらは逃げる方向がわからない、いざりは逃げ遅れるだろう。つんぼははなから知りようがない。
めくらが闇雲に逃げようとし、いざりが這って逃げようとし、つんぼが訳のわからないままにいれば、やがては三人とも焼け死ぬだろう。
幸いこの三人は、自分をよく知り、かつ知恵があった。
どうしたか。
めくらはいざりにたのんでつんぼに身振りで火事を教え、めくらがいざりを背負いつんぼがめくらの手を引いて逃げたのである。
目が見え、耳が聞こえ、歩くことが出来る人は、簡単に逃げられたかといえば、そうもいかないのが、世の中面白いところであります。
かえって、先を争い共倒れ。なんていう結末なきにしもあらず。
見えていても見ず。聞けども聞こえず、歩んでも進まず。であります。
馴れ合いや競争を越え、一人では出来ないから寄り添う。
助かる関係とはこのようなもの。
あいみたがい。というものではございませぬか。