人間の心というものは、認知した現状と自分の思いがずれていると、自分の思いを歪めてまでそのギャップを埋めようとする。
環境に適応しようとする人間の心の強さといえる。
「わしは酔ってなんかおらんわい!」
こうのたまう者ほど、もうやめたほうがよろし。
「いやぁ酔っ払っちまった。」
こういう人は案外しらふであります。
もうあかん。もうあかん。という人ほど余裕があり、いやまだまだ大丈夫やから心配せんといてな。ありがとう。という人ほど、実は極冠的に、より辛い状況なのではなかろうかと思う。
人は、思うと思わざるに関わらず、本人も気付かず、嘘をついてしまうこともある。
それは、本人が心のバランスを保つ為の、自己防衛本能であることも多い。
思いを歪めることで、平静を保とうとするけなげな本能と映る。
なにもかもが、自分をさらけ出して、自分らしく生きる。などということは難しい。
せめて、人の気持ちをそういう面からも汲んでみることで、自らも澱のように溜まっているわだかまりが、溶けるかもしれないと思う。
久しぶりに、バーボンくさいバーボンを呑みたくなる。
ロックグラスの中で、カランと氷が回転する。
季節はもう、ゆきどけをはじめている。
ギャップは 埋まるだろうか。