井戸から空を見上げれば、世界は四角に切り取られる。
丸窓から見たそれは、丸い。
まちやなどの、漆喰で丸く抜かれた窓に、四角い障子戸というような趣向も、古くから見受けられ、粋な感じがしたものだ。
望月の月明るき晩に、ま白き障子の丸い光は、まるで月を居間に取り込んだように美しい。
この頃は四角い世界を、みるばかりになってしまっているようにもおもう。
粋の反対は、野暮である。
話は、変わるが、「やにさがる」とは、煙管(きせる)のやにがさがるほど天向けていい気になっていることをもともとはさすらしい。
野暮は、茶にされる。ともいう。
丸窓に差し込む西日に目をくらまされながら、紫煙くゆらし、茶でも飲んで、丸くいきたいもんだなどと思う。