・・見越しの大松から、杉の梢にかけてその蜘蛛は糸を渡らせた。
これを渡ろうとしている内に風にあおられ糸は切れ、中ほどまでわたっていた蜘蛛は下に落ちた。
命も危ういことだろうに、また這い上がってきた蜘蛛は、再度糸をかけた。が、またも渡りの半ばで切れて落ちた。
そうすること三度も同じ難儀にあったが、遂に四度目にして渡ることができた。
間もなく蜘蛛は巣を張り、そして静かにいつ来るとも思わぬ獲物を楽しみに待つ。
それをずっと見ていて、あの蜘蛛でさえ心長く気長く巣を掛けて獲物を楽しみにするというのに、人間の気短に功をあせることいかがなものかと、これより思いつき・・・。
このようなはなしが、井原西鶴の「日本永代蔵」に出てきます。
大きな獲物をものにするための条件、蜘蛛に学ぶことも多いのであります。