南無煩悩大菩薩

今日是好日也

ジャーナリズムとリテラシー

2018-03-27 | 古今北東西南の切抜
(photo/source)

ジャーナリズムとはその語の示す通り、その日その日のために原稿を書いて、その時々の新聞雑誌の記事を作ることである。

それ自身に別段悪い意味はないはずであるが、この定義の中にはすでにいろいろな危険を包んでいる。

浅薄、軽率、不正確、無責任というようなものが付きまといやすい。

それからまた読者の一時的興味のために、すべての永久的なものが犠牲にされやすい。

それからまた題材が時の流行に支配されるために、取材の範囲が狭められ、同時にその題材と他の全体との関係が見失われやすい。

・・ただ、そういう幣に陥ることなくして永久的な読み物としての価値を有するものもまた決して不可能ではない。

そういう永久的なものと、悪い意味でのジャーナリスチックなものとの区別は決して難しくはない。

要するに読んだ後に、読まない前よりいくらか利口になるかならないかというだけのことである。

そうして二度三度とちがった時に読み返してみるごとに新しき何物かを発見するかしないかである。

-切抜/寺田寅彦「世界文学講座」昭和八年九月より

*Journalism is the production and the distribution of reports on recent events.
*Literacy is traditionally meant as the ability to read and write.
コメント (2)
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