専門家が持っている「専門知」やSNS上の意見を集約したような「ネット集合知」など様々な「知」が、単なる寄せ集めでなく有機的な形にまとめ上げられた「知」のことを指しているようです。別な言い方をすると、様々は要因の絡み合った複雑な問題や課題への対応策(即ち、とるべきアクション)の拠り所となる「知」のことのようです。ここで「知」は、知識、知性、知恵、知能といったものの総称と言えます。
総合知の普遍的な定義は現状存在しないと思われます。ですが、政府は、「第6期科学技術・イノベーション基本計画(※)」を踏まえた当該会議有識者懇談会による検討の中間とりまとめの内容を2024年3月に公開しています(注:下記参考文献2を参照)が、その中で「総合知」を以下のように表現しています:
「多様な『知』が集い、新たな価値を創出する『知の活力』を生むこと」
※ 関連ブログ("第6期科学技術・イノベーション基本計画(政府/文科省)"とは、2024.11.3、https://blog.goo.ne.jp/blspruce/e/b8e1569f3c84335c5742a330c391ca4e)を参照
総合知が求められる背景として、東日本大震災や新型コロナのような社会問題や課題への対応には、専門家が持つ「専門知」や「ネット集合知」だけの利用では限界があるとの見方があり、それらの問題や課題の解決のために関連する多様な「知」を持ち寄り、それらを融合させることにより最適な解を導きだすことが重要といった考え方があるようです。総合知は別名「現実対処知」などとも呼ばれたりするようです(注:下記参考文献1を参照)。
総合知の活用に向けた取り組みが今後活発化し、色々な事例が出てくることが期待されていますし、期待したいです。
<参考文献>
1.危機を乗り切る「知の形」とは?、読売クオータリー2022冬号、2022/1/31、https://www.yomiuri.co.jp/choken/kijironko/cksocialsports/20220127-OYT8T50041/
2.「総合知」の基本的考え方及び戦略的に推進する方策 中間とりまとめ、内閣府 科学技術・イノベーション推進事務局、2022.3.17、https://www8.cao.go.jp/cstp/sogochi/honbun_print.pdf