総務省からの諮問、即ち「市場環境の変化に対応した通信政策の在り方」を受け、2023年8月に設置された委員会で、特に通信政策の根幹に関わる「NTT法」(注:正式名称は”日本電信電話株式会社等に関する法律”)の在り方について検討し、2024年夏頃に答申することが求められています。主査専門委員の山内弘隆氏(武蔵野大学)を含め12名の委員で構成されています。
上記諮問の背景として、令和2年改正法(即ち、令和2年成立の”電気通信事業法”及び”日本電信電話株式会社等に関する法律(NTT法)”の一部を改正する法律)において、施行から3年経過後には、改正内容の実施状況について検討し必要に応じて措置を講ずることが求められていたことによります。
この委員会の位置づけですが、上位に、情報通信分野の政策に関する重要事項を調査審議する「情報通信審議会」(2001.1.6設置)があり、1つの分科会と4つの部会(即ち、情報通信技術分科会、情報通信政策部会、電気通信事業政策部会、郵政政策部会、ITU部会)で構成されていますが、この「通信政策特別委員会」は、上記4つの部会のひとつ「電気通信事業政策部会」に属する4つの委員会のうちのひとつに当たります。下記サイト参照:https://www.soumu.go.jp/main_sosiki/joho_tsusin/policyreports/joho_tsusin/iin_meibo.html
2023年12月までに10回の委員会を開催し、11回目の委員会(2023年12月22日)において、第一次報告書(案)が提出されています。
報告書(案)の本文のサイトは、chrome-extension://efaidnbmnnnibpcajpcglclefindmkaj/https://www.soumu.go.jp/main_content/000919626.pdfです。
同じく、報告書(案)の概要についての資料のサイトは、chrome-extension://efaidnbmnnnibpcajpcglclefindmkaj/https://www.soumu.go.jp/main_content/000919270.pdfです。
報告書(案)によると、NTTの、時代に即した自由な経営を確保するため、速やかに必要な制度整備を実施すべき事項として、(1)研究の推進責務の撤廃、(2)研究成果の普及責務の撤廃、(3)外国人役員規制の緩和、の3点が挙げられています。
本特別委員会は、2024年1月以降、設置された3つの作業部会(即ち、ユニバーサルサービスWG、公正競争WG、経済安全保障WG)により、2030年代の通信政策についての論点絞り込みを進めてきているようです。この7月30日には、「固定電話サービスの全国一律の提供義務」や「外資規制」などについての論点整理が示されたようですが、さらに検討を継続し、この夏の答申に結び付けようとしているようです。
その一方で、自民党は、2023年12月1日、NTT法の在り方を議論するプロジェクトチーム(PT)の会合を開催し、公正競争や外資規制などの措置が整うことを条件に、NTT法を2025年をめどに廃止する提言案を原則了承したようです。そして、早ければ2025年の通常国会会期中に、NTT法の廃止法案を提出するスケジュールを見込んでいるようです。
こうしたことから、今後の特別委員会の答申を受けた総務省において、答申と自民党の動きとのすり合わせが必要になりそうです。